ドイツの大手日系企業とドイツ企業、日本人はどっちが就職しやすい?

海外移住組の永遠のテーマと言えるのが、「現地に進出している日系企業と純現地企業」どちらが良いかというテーマです。僕の場合、ドイツ人の数が圧倒的に多いとはいえ、一応くくりとしては「日系企業」というカテゴリの企業で働いています。

僕の周りを見回すと、ドイツ移住組の9割くらいが「日系企業」で1割くらいが「ドイツ企業」で働いているような印象です。それぞれにメリット・デメリットあると思いますが、今回は「どちらが就職しやすいか」というテーマに沿って解説していきたいと思います。

基礎知識 ドイツの日系企業vsドイツ企業

本題に入る前に少し補足をしておきましょう。恐らく、ドイツで登記している以上会社法的にはどちらとも「ドイツ企業」にカテゴライズされるのだろうと思いますが、便宜上「親会社が日系企業のもの」をドイツに進出している日系企業と呼ぶことにします。

つまり、ソニー、トヨタ、パナソニック等の大手企業で、ドイツに支店を持ち、そこで販売や研究、マーケティングをおこなっているような形です。

大体は駐在員さんがいて、彼らが現地法人を運営しているのですが、現地と日本本社との折衝役というのはたくさんいるに越したことはないようで、自然と大手企業であっても僕のような底辺サラリーマンに就職のチャンスが回ってきます。日本にいたら書類選考ではじかれてしまうような大手企業に、ドイツの現地採用というルートを使うと割と簡単に入れてしまうのです。

応募要件

それでは早速ドイツにある日系企業とドイツ企業との日本人にとっての応募要件を比較してみましょう。これは、100社以上応募した僕の個人的な感想ですが、大体以下のテーブル票のような応募要件が課せられていると思います。

  ドイツの日系企業 ドイツ企業
日本語 アドバンテージ 不要
ドイツ語 マストではない マスト
英語 マスト マスト
大学の成績 あまり重要でない 重要
年齢 35歳くらいまで 年齢関係ない
前職の経験 違う業界でもOK 同じ業務体系・業界
日本人にとって 就職しやすい 就職しにくい

日本語

ドイツの企業で日本語を必要とする会社はほとんど(多分、全体の0.001%くらいしか)ありません。対して、ドイツの日系企業では、多かれ少なかれ日本語の話せる人材が重宝される傾向にあります。日本にある購買や物流と連携しているため、そのあたりで日本語知識が必要になってくるのです。

そのため、僕たち日本語を母国語として使用する人々にとって、どちらで働くアドバンテージがあるのかというと、基本的には日系企業ということになります。

ドイツ語

ドイツ語は、日系企業ではマストではない一方で、ドイツ企業ではほぼマスト(ビジネスレベル、つまりC1レベル)です。そのため、この語学の足切りの時点で、多くの日本人にとってドイツ企業は不向きであるということがうかがえます。

英語

英語力は、ドイツ企業でも日系企業でも要されるスキルになります。ただ、日系企業ではB2レベルくらいから受け入れてもらえますが、ドイツ企業だとC1レベルが必要となり、やや難易度のハードルが上がります。

大学の成績

個人的には、ドイツの企業はほぼもれなく大学の成績を聞いてきます。対して、日系企業はそこまで大学の数値をあてにはしません(ただ、日本でどの大学を出たのかは聞かれましたが)。ドイツの大手企業などですと、GPA3点台後半を要求してくるようで、その時点で大学時代勉強など全くしてこなかった僕にとっては不可能なラインです。

年齢

日本の転職市場と比較すると+5歳くらい上まで許容される感覚で、ドイツに進出している日系企業に転職する際、大体35歳くらいまでがボーダーラインとなるような印象です。

もちろん、それ以上で就職した人もいますし、もっと若くして就職している人もいます。僕は31歳でドイツで就職しましたが、それでも人事の人曰く「若手」に分類されるようです。

対して、ドイツ企業は応募要件で年齢を聞いてくるようなことはなかったと思います。

前職の経験

ドイツ企業、日系企業双方でよく「前職の経験」について聞かれますが、日系企業の場合「前職の経験」と「新しいポジション」の業界は必ずしも同じである必要はありませんが、ドイツ企業ではこの経験畑は極力同じであることが求められます。ドイツの人事制度は、とにかくその業界に特化した人材を育てることなので、理にかなっているのではないでしょうか。

総合評価

さて、いろいろと比較をみてきましたが、総じて僕は、日本人にとって入りやすいのは圧倒的に「ドイツにある日系企業」だと思います。僕のような学歴、職歴に難点のあるような者でも、日本では知らない人のいないような一部上場企業で働くことができるようになりました。

対して、ドイツ企業で働こうと思うと、最低でも流暢なドイツ語と英語が必要になってくる上に、加えて前職の成功やスキルが要され、ハードルはかなり高いと思います。

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