
低学歴、低賃金、低スキル、加えて30歳と、転職市場ではあまり歓迎されない三低スキルの僕でしたが、ドイツで無事就職して5年目を迎え、なんとか永住権を取得することに成功しました。
巷ではプログラミング学校に通ったり、ドイツの大学院に通ったりしてから就職をする人が多いようですが、僕の場合そんなお金はなかったため、完全に裸一貫から就職に成功した形です。
日本で底辺貧乏サラリーマンだった僕がドイツ転職するためにやった5つのこと
僕のように、日本で営業一筋、履歴書に書けるようなスキルも実績もなく、いたずらに年だけを重ねてしまった、という人も少なくないと思います。そうした持たざる者たちがヨーロッパで就職するにはどうしたらよいのか、裏技を披露します。
30歳はドイツではまだ若手
前提条件として、役職や技能がなければ日本の転職市場では敬遠されがちな30歳という年齢ですが、ドイツでは全然普通に転職市場に出回るような年齢です。つまり、日本の転職市場でいう20代後半くらいの、もっとも脂ののった年齢として見なされ、あまり年齢のディスアドバンテージを感じさせません。
むしろ、仕事を覚えたこの年齢のポジションというのは、会社のほうもあまり手放したくないので、必然的に市場での価値が高く、企業側と交渉しやすい年齢層となります。
「30歳過ぎて海外転職」というと、そんな年齢でよく思い切ったね、といったレスポンスが日本の友達からは返ってきますが、実はそこまで思い切るような年でもなく、割とリスクが少ない環境ではあるのです。
というわけで、転職市場で良くやり玉にあがる「30歳」という壁は、ドイツ転職に際しては全く問題になりませんでした。
年齢はあまりネックにならない(40歳以下であれば)
阪神の野手のように、30代は「若手」と見なされる
意外にも営業経験者はドイツで不足
良いことに、ドイツでは「営業経験者」という肩書は割と不足しています。ドイツの社会システムでは、10代のころから将来の道が決まり、職人コース、学者コース、経営者コース、等ざっくりと人生のルートが決められます。そんな中で「営業(Vertrieb)経験」は、ドイツの中でもちゃんとした専門職の一つで、給与水準も悪くありません(中小企業でも、エース級であれば年収1000万円程度)。
もう少し付け加えると、単なる営業ではなく、営業×前の業界で深化した分野の組み合わせの上での営業経験がものを言います。僕の場合、日本時代に幸か不幸か様々な会社を経験したため、出版、機械、建材、と広く浅く様々な分野での営業知識がありました。僕が今ドイツで働いているのは機械系の会社ですが、純粋な営業というよりは企画部門で、機械×営業の知識がないと採用してもらえないポジションです。
他にも「薬品×営業」「自動車×営業」など、特定の分野での営業経験はドイツで不足しており、転職市場で重宝されるスキルとして扱われやすいのです。
そのため、日本では掃いて捨てるほどいる僕と同じような「中小企業の営業」という肩書が、ドイツでは金の卵に化ける可能性があるわけです。

特殊業界の営業スキルは人手不足
日本語×英語×特定業種営業の組み合わせは割と需要がある
英語が最重要、ドイツ語は不要
ドイツ就職というと、「ドイツ語話せるの!?すごい」となりますが、実際に僕が会社に入ったときはドイツ語の知識はゼロでした。会社に入り、5年かけてちまちまと勉強を続け、先日ようやくC1の試験に合格した形です。
なので、就職はすべて「英語」「日本語」のみのスキルでごり押しして成功したことになります。
どうしてこんなことが可能なのかというと、ドイツはEUでも屈指の英語大国で、若い世代であればほとんどが英語でコミュニケーションが行えます。つまり、わざわざドイツ語を勉強しなくても、英語さえ身につけておけば、割とどうとでもなるのです(英語力の乏しい、EUのスペインやイタリアなどではこうはいかないかも知れません)。
僕は高校・大学時代英語はいつも赤点常連でしたが、1年近く英語の勉強をガチった結果、どうにかB2レベルの英語力を手にすることに成功し、これがドイツ転職に結び付きました。
ひたすら英語を頑張れ
ドイツ語は後回しでOK
狙い目はあの業界!
最後に、単にやみくもに就職先を探しても、日本人にとって海外就職は楽ではありません。最も狙いやすく、日本人にとって採用の確率が高く、かつホワイト高給取りのポジションが用意されているのは「大手日系企業のドイツ法人」です。
東芝、カシオ、トヨタ、マツダ、デンソー、等、Core 30やLarge70、日本を代表する大企業の製造拠点や欧州本社がドイツには多く展開されており、大企業であれば日本人の駐在よりもドイツ人従業員のほうが多く、仕事文化がドイツ化しているところも少なくありません(コニカミノルタなど、地元のドイツ人からはドイツ企業と勘違いされているとか)。
こうしたドイツ法人では、日本の親会社の良い部分と、ドイツの企業の良い部分とをミックスさせているため、ヨーロッパに来たばかりで仕事経験のない日本人にとってはうってつけの受け皿となります。
- 安定した仕事が得られる
- 日本人であるという理由で人事から優遇されやすい
- ドイツ流の仕事文化なので、残業が少なく有給が多い
勿論、生粋のドイツ企業に就職する、という選択肢もありますが、彼らはわざわざドイツ語のネイティブスピーカーでない日本人を採用する理由は少なく、全体でみるとほんの一握りでしょう。

新卒で出版会社に働くが、2年で体調を壊し退職。以後30歳近くまで職を転々とし、終いには地元のブラック卸売り企業で年収300万円残業100時間生活を送る。31歳の誕生日直前にドイツにワーホリで渡航。現在フランクフルト在住。
“低学歴のアラサーがドイツ就職で高給取りに生まれ変わった方法” への2件のフィードバック