
ドイツの各都市を訪れる際に一度は目にしたことがあるであろう緑色のバス、Flixubus。ヨーロッパ各地に実に2000以上のバス停を持ち、ドイツバス業界の覇権を握るバス会社ですが、本当に信用できる、危なくない会社なのでしょうか?
Flixbusとは
FlixMobility GmbHという、ミュンヘンに拠点を持つ会社によって運営されているバスサービスのことで、設立は2011年と新しいにも関わらず、ヨーロッパ全土+アメリカのバス業界を牛耳っています。ドイツ国内に限れば、長距離バスのマーケットシェアのうち実に9割をこのFlixbus社が握っているという一人勝ち状態です。
ドイツ国内だけでなく、オーストリア、ポーランド、スウェーデンなどのバス会社を次々に買収し、ヨーロッパのどこの国に行ってもFlixbusを見かけることができます。最近ではトルコやアメリカにも進出を始めました。
2018年からは電車事業にも参入し、ドイツの主要な都市間を運航するFlixtrainなるものを走らせています。ちなみに、Deutsche Bahnよりも安いので、学生に人気です。
コンセプトとしてはWi-Fiが使え、路線によってはコーヒーやお茶のサービスもついてきます。
Flixbusは安全なのか
全ての事故の記録が乗っているわけではありませんが、2019年に確認できるだけで5件の自動車事故が発生しています。そのたびに重体や死者が発生しているので、まあ100%安全とはいいがたいでしょう(ただ、電車にしろ飛行機にしろ事故は起きるときは起きるので、それらと比較して際立って危険、というわけでもありませんが)。
Flixbus社が自身のお抱えのドライバーやバスを持って運営しているわけではなく、あくまで地元の会社で運営している形態のため、途上国などでFlixbusに乗るときは、英語すら通じないときもあります。
Flixbusのうりは安さとWifiなので、乗客の33%はお金の無い学生層であるというデータもあります。
https://global.flixbus.com/company/press-room/press-releases-flixbus-5-years-anniversary
Flixbusの強みと弱み
Flixbusを利用することのメリットとしては、何といっても安さが挙げられます。ただし、電車や飛行機と比較して特別安いかと言われたら必ずしもそうではなく、例えば、ベルリン→フランクフルトの旅程を2週間後の同じ条件でバス、電車、飛行機を比較してみてもあまり価格に違いはありません。
Flixbusの夜行便:20EUR前後(所要時間7時間)
Deutsche Bahn:20EUR前後(所要時間4時間)
Lufthansa:80EUR前後(所要時間1時間)
こうしてみると、あまり安い感じがしませんね。ただし、Deutsche Bahnは2週間前以前の予約だと価格がぐっと安くなるので、直前の予約とかだとFlixbusのほうが安い事も。
加えて、メリットとして「寝ている間に目的地に着く」夜行便を多く扱っている点です。まあ、狭い車内で寝られるかどうかは人次第ですが。
もう一つ、メリットとして「荷物がたくさん積める」ことが挙げられます。無料荷物は後述の通り手荷物&預入(20㎏まで)ですが、追加料金を払えば他の荷物も積載できるので、東欧などから引っ越しをする際には手荷物を積み込んで移動する人をよく見かけます。
Flixbus | 電車 | 飛行機 | |
価格 | 安い | 安い~普通 | 高い |
バス停や駅までのアクセス | 悪いこともあり、良いこともある | 大体良い | 悪いことのほうが多い |
所要時間 | 遅い | 普通 | 早い |
快適さ | 狭い | 狭い~普通 | 狭い~普通 |
時間通りか | よく遅れる | 遅れる | そんなに遅れない |
逆に、デメリットとして挙げられるのがまず「駅が分かりづらい」ことです。駅なんかは文字通り電車の駅があるのでわかりやすく、かつ駅中にあるのでアクセスしやすいのですが、Flixbusは申し訳程度にバス停がたっているだけで、小さいものだと見落としがちです。
また、ベルリンのバスターミナルなどはものすごいアクセスが悪かったりと、電車とバスとをコネクトして使いたいときには不便もありますね。
Flixbusの使い方
基本的には、自身でオンラインで予約し(旅行エージェントなどが代行してくれることもありますが、あまりメリットは無し)、所定の時間にバス停に向かうだけです。バスはちょいちょい遅れてきますが、路線によってはバスが今どの位置にいるかをトラッキングすることも可能です。ちなみに僕がFlixbusを使用した中で最大の待ち時間は3時間、待てども待てどもバスが来ないということがありました。

予約の際に、座席を指定することも可能ですし、指定しないことも可能です。指定することのメリットとしては、窓側や入口近くの座席を確保できることで、その代わり2~300円費用が掛かります。
荷物に関しては、以下のものが無料で、追加の荷物が発生する場合は追加料金がかかります
- 手荷物:42㎝×30㎝×18㎝(7㎏)
- 預入荷物:80㎝×50㎝×30㎝(20㎏)
ただし、空港のように荷物の大きさや重さをはかるわけではないので、多少大きくても大丈夫でしょう。
バス停に到着するバスを待ち、あとはオンラインで予約したチケットをバスの運転手に見せれば手続き完了です。その際に、身分証明書の提示を要求されることがあるので、ビザやパスポートを同時に用意しておきましょう。
車内にはトイレとWi-Fiがついており、最低限の快適さは整えられています。上述のように、夜の便を利用して移動したい、という層には悪くない移動の選択肢なのではないでしょうか。

新卒で出版会社に働くが、2年で体調を壊し退職。以後30歳近くまで職を転々とし、終いには地元のブラック卸売り企業で年収300万円残業100時間生活を送る。31歳の誕生日直前にドイツにワーホリで渡航。現在フランクフルト在住。