
海外移住の良いところが様々なメディアやブログ、留学エージェント等で喧伝されていますが、実際に移住した後の生活の苦労や就職に関して詳細を記載しているところは少ないのではないでしょうか。
また、いくら給料が上がっても、生活費が高く貯金やレジャーに回せるようなお金が残らなければ元の木阿弥です。今回は、移住先として人気の高いドイツでの、30代前半の独身時代の僕の家計簿を公開します。ちなみに、今回の記事では「支出」に重点を置いて解説しますので、具体的にドイツで日本人がいくらくらいの給料をもらえるかに関しては「ドイツで就職後1年目、3年目、5年目の給与や仕事環境の変化」の記事を参照してください。
家賃・光熱費
まず、手始めに生活費の中の大半を占める家賃の項目から見ていきましょう。日本では手取りの「30%以内」が理想と言われている家賃費用ですが、ドイツでは家賃と光熱費は合体していることも多いため、その場合30%よりもちょい多めくらいでもよいかもしれません(ちなみに、ドイツ人の家賃への平均支出は手取りの35%)。
日本同様、家の広さ、駅からの近さ、キレイさ、などが家賃相場のファクターとなりますが、加えてどこの都市なのか、というのも重要です。以下の図の通り、大都市であればその分家賃相場は高く、特にミュンヘンやNRW州の大都市はドイツでも特に高い傾向にあります。

いくつか実例をあげましょう。日本同様、独身者であれば月5万円~10万円くらいの相場観で良いと思います。また、住み込みや、シェアフラット(WG)などではここから20%程安くなります。
500EUR
- 駅から徒歩15分
- 中堅都市
- 部屋は25㎡、キッチン・トイレ・シャワー付き
- 家具付

850EUR
- 駅から徒歩30分
- 大都市
- 部屋は50㎡、キッチン・トイレ・シャワー付き
- 家具付
食費
食費は、人によって違いの出る項目の一つだと思います。ドイツ人の平均値では、食費への支出は月に300~350EUR(日本円で4万円~5万円)程度とのことです。ちなみに、日本同様、食費への支出は手取りの15%くらいが相場です(出典:Einkommen-Konsum-Lebensbedingungen)。
ドイツ人はかなりケチで堅実な性格をしており、あまり外食にお金を費やしません。友達と飲みに行っても、食事+酒、ではなく、酒オンリーのことが多く、基本的には食事は食材を調理して家で食べる、というスタンスです。
EUから無税で、かつ陸続きで食物が輸入できるため、ドイツのスーパーで売られている果物や野菜、肉類は日本に比べるとそこまで高くなく、むしろものによっては日本よりも安い食材が少なくありません。
僕は日本で生活していたころ、節約のためにモヤシや醤油で生き延びた男ですので、ジャガイモや玉ねぎが安売りされているドイツでは割と食費を切り詰める難易度は高くなく、月の食費も平均程度の300EUR前後です。
逆に言うと、自炊を怠り、外食ばかりしているとあっという間に食費が嵩んでいきます。日本と違って、ワンコインで食べられるランチも、コンビニやスーパーの弁当も少ないドイツでは、普通にランチを食べに行くと一回10EUR~15EUR(1300円相当)は取られます。仕事がある日に毎回ランチを食べに行っていると、それだけで一ヶ月200EUR~300EURの出費となり、家計を苦しめます。


交際費
上述の食費の項目でも記載しましたが、ドイツ人の友人と飲みに行くと、食事がつかず飲みだけ、ということが多々あります。その場合、水のように安いビールを4~5杯飲んでも精々2000円前後、あまり大きな出費にはなりません。
ただし、ドイツに生活する日本人との会食だと話は別で、日本食レストランなどに行くと一人頭1万円前後かかることも少なくありません。
デートなど、女性と食事に行くようなことがあるとやはり同様に、食事+飲みのコンビネーションになるので、場合によっては一回1万円前後は覚悟しておいたほうが良いでしょう(日本人男性とデートする場合は、日本食レストランに行きたがる白人女性が多い)。
なので、誰と飲みに行くか、パートナーがいるかどうかで交際費はピンキリとなりますが、月に3万円前後用意しておけばよいかと思います。
交通費
会社によって、交通費補助があるところとないところがあり、ない場合は月に100EURくらいかかることもあります。また、会社によっては車をレンタルさせてくれ、保険・ガソリン代も出してくれるし私用でも使っていいよ、というところもあります。
僕の会社は車を貸してくれる会社で、私用でも使える代わりに月に300EUR給与から天引きされる仕様です。一年で3600EUR、五年でも18000EURですので、新車を買うよりずっとリーズナブルに自動車が使えます。
なので、この「交通費」の項目に関しては、人によりけり(月100~300EUR程度)なのではないでしょうか。
貯金
手取りから上記の諸々の金額を差っ引いていくと、最終的には手元に600~700EUR残る計算になります。これを貯金に回せば、年間に100万円程度貯金ができ、家を買ったり車を買ったりといった将来の出費に充てられるでしょう。
参考までに、僕の独身時代の家計簿を以下に記載します。30代前半男性、ドイツ現地採用ですと大体こんな感じではないでしょうか。
手取り | 2200EUR |
家賃 | 650EUR |
食費 | 300EUR |
交際費 | 200EUR |
交通費 | 100EUR |
通信費 | 50EUR |
その他 | 200EUR |
残額(貯金) | 700EUR |
ドイツでは、夫婦共働きのパターンが多く、女性も割といい給料を稼ぐので、世帯年収が1000万円オーバーという家庭は割と一般的です。夫婦で合わせて貯金をしていけば、10年~15年もすると、田舎に小さな一戸建ての家が建てられるくらいの貯金は貯まりますね。
17時に仕事が終わる労働環境を考えると、中々夢がある話ではないでしょうか?

新卒で出版会社に働くが、2年で体調を壊し退職。以後30歳近くまで職を転々とし、終いには地元のブラック卸売り企業で年収300万円残業100時間生活を送る。31歳の誕生日直前にドイツにワーホリで渡航。現在フランクフルト在住。
“実は安い、ドイツでの生活費を公開します: 30代日本人男性、独身” への2件のフィードバック