【イスラム過激派は消滅?】日本人が注意すべきドイツの最新テロ事情

コロナによる混乱でしばらくメディアでは取りざたされることがありませんでしたが、21世紀に入ってドイツではイスラム過激派や右翼過激派によるテロ事件が相次いで勃発していました。2016年にミュンヘンのクリスマスマーケットに大型トラックが乗り込み、大勢の観光客が犠牲になった事件はまだ記憶に新しいのではないでしょうか。

2019年以降海外のテロや事件のニュースはめっきり日本に入ってこなくなったようですが、現在のドイツの状況はどうなのでしょうか?現在危険と思われるテロ組織、コロナ期間中のテロ事件などに焦点をあてて紹介していきたいと思います。

ドイツの主要なテロ組織

基本的にドイツで死傷者を伴うような危険なテロ行為を行うテロ組織は、以下のどれかに分別されます。

  • 右翼過激派
  • 左翼過激派
  • イスラム過激派

細分化すればもっといろいろあるのでしょうが、抑えておくポイントとしてはこの3グループで十分でしょう。

ちなみに、ドイツで戦後一番死者を出したテロ行為はパレスチナ武装組織「黒い九月」によるミュンヘンオリンピック事件で、イスラエル人選手11人と警官1人の計12人(加えて5人の犯人も射殺)が犠牲となりました。

右翼過激派

ドイツ国内では、ユダヤ人虐殺の歴史観を否定することが違法であったり、差別自体がソーシャルタブーとなっているのでナチス発祥の地の割には「右翼過激派」と言われるグループはなりを潜めています。むしろ、ロシアや東欧のほうがネオナチが多いという不可解な現象が起きていますね。

それでも、レポートによるとドイツ全体の右翼過激派の数は26000人、中にはネオナチグループの6000人が含まれ、潜在的な犯罪者予備軍とみなされています。彼らの主張はおおむね「外国人出ていけ」、過激な所になると「外国人根切にすべし」です。特にメルケルが推し進めた移民政策以降、移民に反対するドイツ人の数は増えた印象ですね。

ドイツに住む日本人にとって一番厄介なのがこの右翼過激派かもしれません。ネオナチはスキンヘッドのファッションスタイルをしているので、見かけたら不用意に刺激しないようにしましょう。

左翼過激派・無政府主義者

ドイツでは過去十数年ほど、左翼過激派による(未遂はたくさんありますが)死傷者を伴うテロ事件は起きていません。冷戦終結まではドイツ赤軍と呼ばれるヤバいやつらが暴れまわっていたのですが、1998年に正式に解散して以来、たまに頭のおかしいやつが出てくる程度で、ドイツ赤軍級の武闘派は出てこなくなりました。危険度でいえば今のことろ一番薄そうです。

イスラム過激派

ヨーロッパで暴れまわっている多くのイスラム過激派の出どころはトルコ、クルド派閥です。トルコ系の移民を多く受け入れてきたドイツは、イスラム過激派の資金的な温床として扱われてきました。

直近で一番大きかったのは2016年のチュニジア人イスラム過激派によるクリスマスマーケットへのトラックでの体当たりで、60人近くが死傷する大惨事となりました。

統計的に見るとEUのイスラム過激派による死者数は2017年をピークに減少傾向にありますが、未遂事件はまだまだ多く発生しており、油断は禁物です。クリスマスマーケット事件の際に外務省は「クリスマスマーケット等人ごみに出かけない」ことを対処法として挙げていましたが、後述の通り通りを歩いていても襲われることがあるので、あまり当てにはならないかと。

(出典: Terrorism in the EU: terror attacks, deaths and arrests in 2019

コロナ中のテロ事件

2016年にはイスラム過激派によるクリスマスマーケットの暴走事件などありましたが、ここ2~3年は目立った大きなテロ事件は収まったようなイメージです(コロナもありましたし、テロリストもそれどころではなかったのでしょうか。)

ドイツでコロナが流行し始めた、2020年2月以降のテロ事件をピックアップして紹介します。

2020年 2月 右翼過激派のバー襲撃

死者 11人
負傷 5人
場所 Hanau

ここ2~3年のテロ事件の中では一番被害の大きかったものです。容疑者は右翼過激派で、前々からSNSなどで移民反対を主張している43歳のドイツ人男性でした。事件が起きたのはHanauという都市の水タバコバー(中東の人々のたまり場)で、アラブ人ばかりをターゲットに15人死傷、最後は犯人が自殺して幕となりました。

2020年 8月 イスラム過激派の車アタック

死者 0人
負傷 6人
場所 ベルリン

ベルリンでイスラム過激派の30歳イラク人男性が他の車両に体当たりして6人ケガさせた事件。幸いにも死者はいませんでした。

2020年 10月 イスラム過激派の無差別殺人

死者 1人
負傷 1人
場所 ドレスデン

20歳のイスラム過激派のシリア人男性が通りで通行人をナイフで攻撃、一人死亡し一人重傷を負いました。

2021年 9月20 マスク反対派による射殺事件

死者 1人 
負傷 0人

コロナのマスク対策に反対する49歳の男性が、レジの男性と口論になり、射殺した事件です。テロとはちょっと違うかもしれませんが。

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