【体験談】ワーホリでドイツに行ったら圧迫面接を受けて心が折れた人の話

ワーホリでヨーロッパやドイツに来る人は様々で、ドイツに行きたくてワーホリを申し込む人もいれば、消去法でドイツを選ぶ人もいます。ワーホリを利用する人のバックグラウンドも色々ですが、年齢制限があるので若い人のための選択肢になっています。今回は何も知らずにドイツにワーホリを利用してきたら、圧迫面接を受けて心が折れた後藤君の体験談をお伝えします。

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イギリスに行けなくてドイツに来た何も知らない後藤君

後藤君とは日本人達との日本食パーティーで知り合いました。彼はヨーロッパ、というか海外のことを全然知らないようで、ドイツに来てから数週間程度だったらしくドイツでの生活手段を何も知らないようでした。彼なら僕にマウントを取ってこないだろうと下心があって仲良くなりましたが、初めて会ったとき、彼は手続き類も含めて何を知らないのかも分かっていなかったです。

後藤君は日本では高卒でバイトを掛け持ちしたフリーター生活をしていました。コンビニの夜勤とレストランで働いていたそうで、夜勤のコンビニは暇だったと言っていました。廃棄のお弁当やおにぎりを食べてお客さんが来ないときは裏で寝たりなどだらだら働きつつ、日中はレストランで働いて賄いを食べて食費を浮かしまくってたと自慢していました。僕も昔コンビニで働いたときに無断で廃棄の弁当を食べたら社員の人にバレ、めちゃくちゃ怒られたのでその話をして盛り上がりました。

ドイツに来た経緯を聞くと「フリーター生活に飽きたんすよね。バイトで食費0円生活やってたら100万位貯金できたんで海外移住に来ました。」と話し始めたのですが、聞いていると元々はイギリスに行こうとしていたそうです。ただ当時イギリスはワーホリが人気過ぎて申請できない人が多かったらしく、申請にあぶれた後藤君もイギリス行は断念しました。そこでイギリスの次にヨーロッパで簡単に仕事ができそうなドイツに来たと言っており、話を聞いてみるとドイツ語も英語もろくに喋れないと言ってました。

「自称英語とかドイツ語ができるっていう日本人がめっちゃ見下してきてウザいしキモいっす。」と同族嫌悪気味にぐちぐち言っていて、正直面倒そうなタイプだなと感じたのが知り合って初日の感想です。ちなみにドイツはワーホリだと6ヶ月以上同一雇用主の下では働けないのですが、彼はそのルールをよく理解しておらず「一度辞めてまた雇われなおされればいいんじゃないんすか!?」とか言って凹んでました。

面接を受け始める

知り合った初日から文句たらたらで悪印象だった後藤君ですが、共通の知り合いがいたこともあり、その後も不定期に彼とは会う機会がありました。レストランでのバイト経験があったのでドイツの日本食レストラン(他のワーホリの人に感化されたのか、「ジャパレス」と連呼してました)で面接を受けていたそうです。後藤君はアメリカではチップで一日に1万円稼げるとかいう話をどこかで聞いてたらしく、チップに夢を躍らせていたので、ドイツではあまりチップは貰えない。貰えても従業員全員で分けたりする場所もあるからおまけ程度にしかならないと伝えたところ、日本食レストランでの仕事に一気に興味を無くしてました。

そこで彼は方向転換したようで、近場の日系企業にCVを送りまくってオフィス系の仕事を探し始めました。本人曰く「ジャパレスで働いて金にならないんだったらオフィスで働いた方がいい。」というのが理由でした。高卒フリーターだと難しいのではと思っていましたが、数打ちゃ当たるでしょうか、日系メーカーで生産管理ポジションの面接に呼ばれたのです。後藤君はスーツを持っていなかった(というかスーツを着た経験が全然無かった)ので、面接が決まった時は一緒にユニクロ、H&M、PRIMARK(イギリス発のほぼヨーロッパ最安ブランド)に梯子をしてスーツや面接の準備をしました。

駐在員からの圧迫面接

靴、スーツ、ネクタイ、シャツ全部合わせても100ユーロに満たない格安セットで面接に意気揚々と後藤君は乗り込んでいきました。このメーカーのドイツオフィスは非常に小規模で、そこで働いている人はほぼ日本人だったそうです。仕事も日本語だけでほぼほぼ回るらしく、ドイツ語や英語はできればプラス程度でした。20代前半で高卒フリーター、職歴や経験がゼロなのはCVから明らかなので、後藤君は「どんな仕事でもやります。将来的にビザを出してくれるチャンスがあれば定年まで働きます。」と、とにかくなんでもやりますアピールをする作戦で面接に臨んだのです。

日本人駐在員が面接官で、1対1形式で自己紹介、志望動機から面接が始まりました。しかしワーホリでドイツに来てると伝えたところ、「え、君ドイツに何しに来たの?」と面接官が反応しました。そもそもドイツに行く気も無かった後藤君にとって、こんな当たり前の質問にもあたふたしながら「人生をやり直すためにドイツに来ました」とズレた返答をしたのです。この回答に面接官の眉間に皴がものすごい寄り、面接官が後藤君のCVを見つめる数秒間気まずい沈黙が流れたそうです。

Image by Russell Clark from Pixabay

ここから面接官の話し方が威圧的になり「君、大学には行ってないようだけど、何か理由があるの?」と言われ、学費を賄えなかったためと伝えると、国公立は目指さなかったの?奨学金は?新聞奨学生とか考えなかったの?とどんどんツッコまれました。まともな理由も無かったようで後藤君はどもりつつ何か返事をしたところ、今度は面接官からなぜ大学を目指さないなら、高卒で就職しなかったのかと問い詰められました。「ええっと・・・」と返事に困っていると面接官から「君、人生舐めてるでしょ?」と高圧的に言われたのです。

変な汗が出始めた後藤君ですが、弱々しく舐めてませんと答えても、もう面接官は後藤君を完全に見下した様な対応でした。「よく恥ずかしげもなく応募してきたね、今まで人生で何か成し遂げたこととか無いでしょ?もし私が君の親なら恥ずかしくて勘当してるよ。」と最早面接とは関係が無くなっていきました。面接も10分位で最後に「とりあえず君は不採用だけど、まだ何か言いたいことある?」と言われて終わったそうです。

心が折れて再度の方向転換

面接の感触を聞くために面接日の夕方に会う約束をしていましたが、後藤君と会った時は既に泣き腫らした顔になっていました。1時間以上泣きながら上記の経験を教えてくれて後藤君は死ぬほど落ち込んでいきました。酷い会社だって働く前から分かって良かったよと慰めましたが、そんな言葉を聞いたところで後藤君の気持ちはもちろん晴れるわけも無く、同じ内容を何度も何度も溜息と涙を出しながら話すのです。

後藤君の若さゆえか、この面接がトラウマになり一発で完全に心が折れてました。彼は日系企業のオフィスの仕事に応募するのをやめ、一か月後くらいに日本食レストランでバイトを始めたのです。そこで6ヶ月働いた後ヨーロッパを少し旅行して日本に帰国しました。

彼のワーホリ体験は接客のためのほんの少しの英語とドイツ語を覚えただけだったようです。日系企業の駐在員の話が出たときはいつも毒を吐いて文句を言い、日系駐在員を目の敵にし、ドイツ人の友達もあまりいないようでした。

後藤君の帰国後に他の人が言ってましたが「彼はTinderで知り合った人と会ったけど、後藤君はドイツ語も英語もできなくて向こうは日本語ができない、Google翻訳使って話してたらその人に飽きられたのか、1時間もしないで帰られたらしいよ。」と武勇伝だけドイツに残して去っていきました。

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