ドイツで日系企業に新卒で入るのは果たして難しいのか?

大学卒業後、日本で働かずにそのまま新卒としてドイツの日系企業に就職するのは可能なのか・・・。今回のコラムではドイツで職もプライベートも紆余曲折を経た僕が本音で結論を語りたいと思います。

まずは結論から:ドイツで日系企業に新卒で入社するのは難しい

この記事を読まれているということは、少なくとも新卒での入社が簡単であってほしいと願っていることでしょう。結論として、心苦しいのですが、難易度は高いです。理由は主に3つあります。

  1. 本社から駐在で来ている社員数が少ない
  2. 新人教育の予算が少ない
  3. ドイツ人に説明がつかない

これから個々の理由を深堀りしていきますが、新卒が不可能というわけではありません。個々の能力に起因するものですから当然チャンスはあります。

あくまで一般論として上記の理由が障壁となり、普通の日本人大学生が新卒でいきなりドイツ就職を目指すのが難しい、という話です。

ドイツで日系企業に新卒で入社するのは難しい

1.本社から駐在で来ている社員数が少ない

仮に本社に数百名、数千名の社員を誇るような企業であっても、各国の支店に派遣される社員数は限られています。少数精鋭で支店を健全に走らせなければならないのに、新人にゆっくりと基礎を教えている時間が意外とないのです。

また、駐在員の使命はそもそも、現地で雇う日本人の新卒を育てることではありません。収支の改善、営業エリアの拡大、現地の体制の改善、など、もっと経営の根幹に関わるようなタスクを抱えています。

そのため、学生あがりの新卒に丁寧に指導する余裕も時間もなければ、その義務すらもないのです。

ちなみに、和歌山大学の高瑞紅(こうずいこう)准教授の論文では駐在員の役割を次のように定義しています。

  • 本社から支店への知識移転
  • 統制
  • 拠点間の調整
  • 取引関係

ここに新人の育成は入っていません。

2.新人教育の予算が少ない

支店の経営状況にもよりますが、そもそも新卒に丁寧に研修を提供するのは日本特有の文化。経営がかつかつであれば尚更、営業活動に投資したいでしょう。ところが、新人の教育にはお金がかかります。どんなお金がかかるか想像つきますか?

  1. 人件費
  2. 仕事に必要な物(パソコンなど)
  3. アクセス権限
  4. 研修費用
  5. 社会保険

まずは当然お給料が発生します。即戦力の人を雇えば、自分の人件費分くらいは稼いでくれるかもしれませんが、新人はそうはいきません。パソコンや名刺、各備品にもお金がかかります。

また、会社が売上などをツールで管理している場合、そういったツールのアクセス権限はユーザー毎に課金されるシステムが一般的で、新人一人のために数千ユーロ発生する可能性があります。

社会を知らない新人に研修を提供しようと思えばまたそこで数千ユーロ、社会保険も会社が一部負担するので、お金が発生。つまり、短期的には会社の負担だというわけです。

予算がない

3.ドイツ人に説明がつかない

ドイツ人は新卒とは言え、大学できちんと専攻したことを活かせるポジションに就きます。ご存じかもしれませんが、ドイツは入学は簡単ですが、卒業が本当に困難です。つまり、学生はみなバイトをする時間も惜しんで勉強に明け暮れるのです。

そんな膨大な知識をインプットした人たちが、「自分の専門分野はこれだ!」と豪語し、「だからこの会社に入ってこういうことができる!」と語る言葉の重さは、日本の平均的な大学生のそれとは次元が異なります。

だから何も知らない日本人の学生を簡単に雇っても、他のドイツ人に説明がつかないのです。

それでも新卒でドイツで就職する方法

では、どうしたらいい?と聞きたくなるでしょう。簡単ではないですが、成功事例を紹介します。

  1. シンプルに頭が良い
  2. スキルを持っている
  3. 学生の間に濃いインターンなどを経験している

要は、先の項目で触れた、「新卒を雇えない原因」を一つずつ潰していけばいいのです。自分が即戦力になることを示すことができれば、①駐在に大きな手間をかけさせない、②研修費用を節約させられる、③ドイツ人も納得する、というカラクリです。

そこで上述した三つの要素が説得力があったり、新卒でもドイツの日系企業で就職できるパターンです。

やはりシンプルに頭が良いことを示せれば、落としづらくなるはずです。ただし、こればかりは努力でどうこうできる部分ではないところでもあります。

反面、二つ目の「スキルを持っている」に関しては、誰でも達成できる項目です。例えば、語学を勉強している学生であれば、プログラミングスキルを習熟しておく、物流の知識や資格を持っておく、と言った付加価値が勝率を高めてくれます。

それでも新卒でドイツで就職する方法

まとめ

結論として、平均的な日本人がドイツで新卒で就職するのは、難しいです。ただ不可能ではなく、特定の条件を満たせば可能だと思います。

個人的な見解としては、やはり一度日本で就職するのがベストです。なぜなら、多くの日本人が30歳前後で「やはり日本がいい」と言って完全帰国しているからです。

一生ドイツで生きるのであればドイツ社会を知っているだけで十分ですが、いつか日本に帰る可能性を捨てきれないのであれば、日本で社会人を経験しておく、というのはある意味、最高のリスケヘッジなのです。

ちなみに、もし日本人のドイツでの就職方法を知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

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