
シリアルキラーの定義はいろいろありますが、要するに殺人に対してなんの罪悪感も感じず、性的・心理的欲求で本能の赴くままに殺人を繰り返す人たちのことです。今回は、ドイツの歴史上に名を残すシリアルキラーベスト5を紹介します。
Christman Genipperteinga
活動期間: 1569~1581
犠牲者数: 964人
13歳のころから殺人に手を染め、その生涯を車輪の上(車輪裂きの刑)で終えるまで、なんと964人の人命を奪ってきたとされています。日本でいう戦国時代末期、ドイツでは宗教改革から30年戦争に向かう過渡期とも呼べる時代。
中世のお話なのでどこまで信ぴょう性があるかは怪しいですが、ルクセンブルグ付近の洞穴をアジトとして、フランスやドイツの旅行客を襲って強盗殺人を繰り返していたとのこと。
ある時戦利品として一人の女性を洞穴に監禁し、レイプしつくしますが、この女性のことは彼も殺さず、情が沸いたのか挙句の果てに「洞窟の外に遊びに行ってもいい」とまで許してしまいます。
これが彼の運のつきだったようで、女性はすぐさま警察にこのシリアルキラーのことを通報し、クリストマンはとらえられ、処刑所へ連れていかれます。民衆への見せしめとして、彼にはできるだけ長く苦しんで死ぬように工夫がほどこされ、車輪裂きの刑にあって9日間苦しんで死んだのだとか。
Peter Niers
活動期間: 1566~1581
犠牲者数: 最大544人
上述のクリストマンと同時期に活躍したシリアルキラーです。クリストマン同様、500年も前のことなので、犠牲者数などどこまで信ぴょう性があるかは未知数ですね。文献によれば、強盗殺人を組織するリーダーで、ドイツ各地を放浪しながら気ままに強盗殺人を繰り返していたと。
クリストマンと異なる点として、強盗殺人だけでなく魔術的な要素を秘めたシリアルキラーだったようで、殺した胎児をカニバリズムの儀式に使用したりと、現代の世界では想像もつかないような修羅な男です。ただ、この時期はドイツの魔女狩りのピーク時でもあり、こうした経歴が着色された可能性も否めません。
最期は宿屋に宿泊中に踏み込んだ警察によって逮捕されています。自身の手荷物の中から遺体や胎児などが殺人の証拠になったとのこと。見せしめのため、3日かけて傷口に熱した油を注ぐなどの拷問されて殺されました。
Niels Högel
活動時期: 2000~2005
犠牲者数: 100~300人以上
今までの2件は中世の出来事なので信ぴょう性にも乏しく、実感がわきませんが、戦後最大のシリアルキラーとして名を残すのが、日本のメディアでも取り上げられた殺人看護婦フーゲルで、被害者数は最低でも100人、疑義のかかる案件も含めると300人を超えると言われています。
フーゲルは他のシリアルキラーたちとは違い、ごくごく普通の家庭で、家庭内暴力や性暴力に怯えることなく平和な子供時代を過ごしました。また、28歳の時に結婚し、娘も設けています。
彼女の殺人手段は、他のシリアルキラーのように刺したり犯したり縊ったりという血なまぐさいものではなく、薬剤投与で重体を引き起こすというものです。集中治療室のある病院でおきることのため、周りもあまり取り立てて騒ぐことはなく、発見が遅れたようです。
こうした静かに営まれた彼女の殺人も、2005年に同僚に犯行現場を目撃されたことで終焉を迎えます。警察の手によって彼女の余罪がどんどん暴かれていき、彼女には無期懲役が宣告され、彼女は今も刑務所に服役しています。
ちなみに、彼女がこうした犯罪に手を染めた理由が、「重体の患者を助けたらみんなから称賛されるから」だったと。
Carl Großmann
活動期間: 1918~1921
犠牲者数: 100人以上
「ベルリンの変態肉屋」の異名で知られるカールです。ちなみに、ハーマンという同時期にハノーファーで活躍していたシリアルキラーも肉屋を営んでおり、こちらは「ハノーファーの変態肉屋」の名で知られています。長らくシリアルキラーランキング3位でしたが、上述の看護婦に犠牲者数で追い抜かれました。
小さいころから婦女暴行や虐待などでシリアルキラーの頭角を現し、すでに筋金入りの前科者ではありました。
元々頭のネジの外れていた彼の頭のネジは、突如勃発した第一次世界大戦によって一層ゆるむこととなります。町には孤児や売春婦があふれ、食うものに困った市民に向けてカールは肉を売りますが、その中には彼が殺害した人の肉が混じっていたとのこと。
結局、彼の連続殺人は警察に犯行現場を現行犯逮捕されたことで終わりを迎えました。刑務所内に服役中にクビを吊って自殺したので、結局どれくらいの人を殺したのかはっきりとした数字はわからないままです。
Karl Denke
活動期間: 1921~1924
犠牲者数: 30人以上
今まで紹介したシリアルキラーに比較すると犠牲者数のインパクトでは劣りますが、一応5位にはカール・デンケがランクインです。上述のカール・グロスマンと並んで、第一次世界大戦後のドイツの無秩序が生んだ人食いモンスターの一人です。
ホームレスを言葉巧みに家に誘導し、殺害し、肉を食ったり売ったりしていたと、上述のカールと同じカニバリズム要素を見せています(第一次世界大戦の影響もあってか、この時期のドイツは人食いの犯罪が多い)。
結局、つるはしでホームレスを殺害しようとしたところ逃げられ、警察にそのまま通報、御用となります。彼も留置所内で首を吊って死んだので、詳しい犠牲者の数は分からぬままです。

新卒で出版会社に働くが、2年で体調を壊し退職。以後30歳近くまで職を転々とし、終いには地元のブラック卸売り企業で年収300万円残業100時間生活を送る。31歳の誕生日直前にドイツにワーホリで渡航。現在フランクフルト在住。