【州によって祝日が変わる?】ドイツ地方分権独自の制度と歴史について

ドイツに来てからというもの、日本と比べて地元を愛している人が多いなと感じます。

調べてみるとドイツは地方分権化が進んでいる国で、各都市が独立した制度を持っていることが分かりました。

例えば人口という観点で見てみても、例えば日本は東京に局地的に集中しているのに対して、ドイツは数にベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルンなど各地の大都市に分散しています。

参考文献:
https://worldpopulationreview.com/countries/cities/germany
https://www.stat.go.jp/data/nihon/02.html

今回はそんなドイツの地方分権化の歴史とその独特な制度について伝えていきたいと思います。

①ドイツ地方分権化が進んだ背景と歴史

最初にドイツの地方分権化が進んだ背景についてです。

歴史的にドイツの各都市は元々独立した領土で、その集合体が今のドイツを形成しています。

ドイツは歴史的に中央集権化と地方分権化を繰り返しています。

中世にドイツ帝国が誕生後に中央集権化が進んだのですが、17世紀にカトリックによる宗教統一を押し付けようとした神聖ローマ皇帝にプロテスタント諸国が抵抗したことが発端で発生した三十年戦争により、中央からの権力分散が進みました。

その後はナチスのヒトラーによる独裁政権を得て再び中央集権化し、敗戦後に再び地方分権化が確立します。

占領軍(進駐軍)が、ナチス再興を阻止する為、中央集権を徹底的に排除し、各州が強い力を持つ地方分権の憲法(ドイツ連邦共和国基本法)を作ったことで、地方分権化が確立されます。

Article 30
[Sovereign powers of the Länder] Except as otherwise provided or permitted by this Basic Law, the exercise of state powers and the discharge of state functions is a matter for the Länder.

■私訳:
第30条
[州の主権] この基本法によって別段の定めまたは許可されている場合を除き、州の権限の行使および州の機能の遂行は、各州の所管です。

出典:https://www.btg-bestellservice.de/pdf/80201000.pdf

こうして、ドイツの各州で独自の国家が形成され、州単位での行政が成り立つようになったのです。

参考文献:

https://www.reformgestaltung.de/en/topics/decentralisation
https://learnattack.de/schuelerlexikon/geschichte/dreissigjaehriger-krieg

②州毎に異なる制度

州毎に異なる制度をいくつか書いていきたいと思います。

1:教育制度

地方分権が進んだことにより、ドイツの教育も「国」ではなく「州」が管轄をすることになり、その過程で教育課程も州によって異なる内容になりました。

「教育連邦主義(Bildungsfoderalismus)」を採用しているドイツでは、初等教育と中等教育に関しては、16の州が設置している「文部省(Ministerium fur Kultus, Jugend und Sport)」が政策の権限を有します。

例えば、ドイツの小学校は基本的には4年制ですが、州によっては6年制の小学校もあります。

カリキュラムに関しても、ミュンヘンのあるバイエルン州では小学1年生から英語を学ぶのに対し、デュッセルドルフやケルンのあるノルトライン=ヴェストファーレン州では2年生から授業がスタートします。

日本の場合、公立学校では授業内容も学校組織も全国でそれほど違いはみられませんが、ドイツでは州や自治体によって、授業時間数など異なる教育スタイルを持つことができます。

参考文献: https://bildungsklick.de/schule/detail/bildungsfoederalismus-zugpferd-oder-bremse

2:祝日

 

ドイツの法律で定められた祝日は以下の通りです。

  • Neujahrstag 新年 年の初めを祝う
  • Karfreitag 復活祭聖金曜日
  • Ostersonntag 復活祭
  • Ostermontag 復活祭月曜日
  • Tag der Arbeit メーデー
  • Christi Himmelfahrt キリスト昇天祭
  • Pfingsten 聖霊降臨祭
  • Pfingstmontag 聖霊降臨祭月曜日
  • Tag der Deutschen Einheit ドイツ統一記念日
  • 1. Weihnachtstag クリスマス 第1日
  • 2. Weihnachtstag クリスマス 第2日
  • 連邦制を取るドイツには、一部の州にのみ通用する祝日があります。

 

例を挙げると、1月6日は三王来朝(Heilige Drei Könige)として、バーデン=ヴュルテンベルク州、バイエルン州、ザクセン=アンハルト州では、法定祝日となっています。

バイエルン州は宗教的な理由で休日がほかの州より多いのも特徴です。

(上記祝日の他に聖体節、諸聖人の日といった祝日があります。)

祝日の多い州に住めば人より多く休めるのでお得感がありますよね。

参考文献:https://www.travelcircus.de/urlaubsziele/brueckentage/

③まとめ

各都道府県毎に教育制度や祝日が異なることは日本にいたら考えられないと思います。

各州が独立しているからこそ、その土地で個性的な商品や文化が発展するし、日本のような一都市集中型ではなく、地方に人が根付く土壌が出来上がっているんだなと感じました。

各都市で有名なビールに関しては以下の記事を参考下さい。

【ドイツに来たら必ず飲みたい】本場で味わうべきおすすめビール5選

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