【ドイツ体験談】偽警官詐欺で暴行+財布盗難の最低な被害にあったミュンヘン旅行

ドイツ、というかヨーロッパにいると常に気をつけなければいけないのがスリや詐欺などの犯罪です。無論強盗や重犯罪は当たり前ですが、ドイツであろうとイギリスであろうとフランスだろうとヨーロッパは基本日本より犯罪発生率が高いので警戒する必要があります。

日本に住んでいると想像しない様な路上での詐欺被害に会うこともあります。僕の知り合いの太田くん(仮名)がミュンヘン旅行で体験した偽警察官詐欺+暴行被害の体験談についてお話しします。

ドイツで日本人が注意すべき詐欺行為8選

詐欺被害で最悪のミュンヘン旅行体験談

いつかはヨーロッパに住みたいというふわっとした夢があった太田くんは、ワーホリでドイツの生活体験をしに来ていました。ドイツ語はからっきしで英語がほんの少しだけわかる程度のレベルでしたが、ヨーロッパで苦労しながら生活するのも良い経験だと前向きに生活していました。

日本からでも住むところを見つけられたデュッセルドルフを拠点に選び、ドイツ事情を緩く経験していたそうです。そしてドイツに住み始めて数ヶ月経ちドイツ生活にも少しづつ慣れてきたのもあってか、ある日ミュンヘンに旅行をしました。

太田くんにとって南ドイツであるバイエルン州にはそれまで行ったことがなかったので、ドイツ国内旅行と言えど楽しみにしていました。ドイツ人が大田くんに「バイエルン州のドイツ人は文化的にカトリックの割合が高くて、プロテスタントの割合が高いドイツの北側とは雰囲気が違うよ」など伝えており、将来的なドイツ移住時の定住候補的な意味でも見定めるつもりだった様です。

バスでミュンヘン到着後いきなり警察官に声をかけられる

ミュンヘンには電車かバスで行く方法があるのですが、もちろん電車の方が身体を動かせるので快適です。しかし太田くんは電車の予約を面倒くさがっていたら席が全て埋まってしまったらしく、結局はバスで行くこととなりました。「電車より不便だけどまあいいか」程度に捉えていましたが、後々これがトラブルの元になってしまったのです。

ミュンヘンバスターミナルに到着するとそこは初めての場所、もちろん右も左もわからないのでキョロキョロしながらバスターミナルの出口を探すことにします。しかしバスを降りて2分後くらいでしょうか、急に中年の白人男性が二人太田くんの前に現れて「Hey」と声をかけてきたのです。過去にホームレスや物乞いみたいな人から声を掛けられたことはあり、そういったときは無視して通り過ぎていたそうですが、中年の男性二人組から声を掛けられたことは無かったので、面とくらって立ち止まって反応してしまったそうです。

ぱっと見の年齢は40代半ばの二人組でした。一人は頭にバンダナを巻いてTシャツにヨレヨレのレザーベストを着た顎髭の男性、もう一人は少し背が高くTシャツにこれまた少しヨレヨレのネルシャツを着た男性でした。「ホームレスとは言わないまでも小汚い男性二人組が自分に何のようだ?」と1秒くらい頭の中でぐるぐる考えていると、その二人組から「うちらは警察で麻薬捜査している。お前のバッグの中身をチェックさせろ」と無愛想に言われたのでした。

彼らは警察の身分証明書を持っていると言って、パッと警察の身分証明書のようなものを見せてきました。問題は大田くんはドイツ語ができるわけではなく、また警察の身分証明書を見せられても何が何だか本物なのか偽物なのか判断ができなかったのです。あまりに胡散臭い自称私服警官にバッグチェックさせろと言われても、太田くんにとっては警戒心しかありませんでした。

自称警官に襲われる太田くん

とはいえその場ではどうして良いかわからなかったので、とにかく持っていたパスポートを開いて見せることにしました。そうすると二人組は「確認するからパスポートを渡せ」とパスポートを取ろうとしてきたのです。この二人組を警戒していた太田くんは、相手が何を言っているのかよく理解できていませんでした。しかしパスポートを取られたらまずいのではと思い、自分の手を引いてパスポートを取られないように守ったのです。この行動に二人組はカチンときたのか「パスポートを渡せ、でないとむりやり取るぞ!」のような怒った言葉で脅してきたのです。

その1秒後、二人組のうちの一人が急に腕を太田くんの首に一気に押し当てて壁に叩きつけたのです。太田くんは首に腕を押し当てられて息ができないとパニックになった瞬間、残りの一人が大田くんの手に持っていたパスポートを無理矢理力づくで奪い、その時の衝撃でパスポートが半分くらい破けてしまいました。

襲撃時の再現CG図

壁に叩きつけられるし首を抑えられてまともに息もできず完全にパニックになりました。一方でここはまだバスターミナル、色々な人が中を行き来しているのに誰も襲われている太田くんを助けてくれることはありませんでした。周りの人は我関せずとバスターミナルから出て行ったり、バス停の方にでも去っていってしまい、まるで自分がそこに存在しないかのような扱いだったのです。

パスポートを奪った人は適当にパスポートを捲ってチェックした後、押さえつけている方とドイツ語で何かを話し始めました。太田くんの方は呼吸はできる程度に首を緩められましたが、それでもまだ体を壁に押さえつけられて逃げられない状態でした。今度はパスポートを奪ってきた方が「お前の財布を確認するから見せろ」と言ってくるのでした。人の前で襲われた太田くんは既に完全に戦意を喪失してしまい、言われるがまま二人組に財布を差し出したのです。

二人組がパスポートを見ながら財布をチェックして2分後くらいにようやくパスポートと財布を返してくれました。最後に二人組は「You should have listened to us from the beginning, stupid(最初から俺らの言うことを聞いてりゃ良かったんだよ、お前はバカだな)」と太田くんの肩を叩きながら捨て台詞を吐いてどこかへ去っていったのでした。長距離をバスを降りてわずか数分後、そしてほんの数分の最悪の出来事だったのです。

カードと現金を取られたことに気づく

二人組がどこかに去って数秒後、言葉には表せない怒りと悲しみが込み上げてきました。悲しいし悔しいしムカつくし、そして人前で中年の白人男性二人組に襲われていたのに、誰も助けてくれない周りの人たちにものすごい腹が立ちました。

怒りすぎて冷静になれないので、一度カフェに移動して自分の財布を確認することにしました。しかし会計の時に財布を確認してみると、なんとカードと現金450ユーロくらいの紙幣が抜き取られていたのです!

財布の中には10ユーロ紙幣一枚と硬貨だけ申し訳なさそうに入っていただけで、他の紙幣とカードが抜き取られた空の財布に半分破けたパスポートが残されたのでした。怒りと悲しみで筆舌尽くし難い感情が太田くんの頭を支配してしまい、次に何をすべきかも考えられず1時間以上そのカフェに座っていたそうです。

ミュンヘン到着直後の暴行+警察詐欺のコンボでミュンヘンが一気に嫌いになるには十分、怒り心頭で観光もせずに予定を切り上げてデュッセルドルフに戻ってきたのでした。それ以来太田くんはドイツで知り合う日本人に「ミュンヘンはヨーロッパ一最悪なところ、警察が市民を襲う。ミュンヘン人は誰も日本人を助けてくれない。」と警察詐欺を警察が暴行するストーリーに変えてミュンヘンを延々とディスるのでした。

どうするべきだったか

スリや犯罪に巻き込まれないのが一番ですが、時にトラブルはどんなに自衛をしても襲ってくることがあります。残念ながらこうすれば絶対に安全!という対策はありません。そして残念ながらアジア人が路上で絡まれたところで、周りの人は助けてくれない非情なケースもヨーロッパではあるあるかもしれません。

しかしそれでもいくつか注意点はあります。
こちらは在デュッセルドルフ日本国総領事館の注意喚起のページです。

太田くんが経験したケースとこちらで紹介しているケースは同じではありませんが、リンク先に紹介されているような対応がおすすめです。

  • とにかく向こうから声を掛けてくる人は無視
  • 警察官の職務質問を受けた際は身分証明書(Dienstausweis)の提示を求める
  • 私服警察官には犯罪捜査従事証(Kriminaldienstmarke)の提示も求める
  • パスポート、財布、自分の所持品をチェックしようとした場合、110番通報し警察官に来てもらうよう伝える

そしてスリにしろ詐欺にしろ、犯罪に巻き込まれたら警察に被害を報告しましょう。

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