ドイツ人のジャガイモ愛を感じずにいられない格言

日本人にとっての米と同じくらいドイツ人の食生活に欠かせない食材、それはジャガイモ。ドイツにおいてジャガイモは主食ポジションであり、副菜ボジションでもあり、時にはサラダやデザートにもなってしまう、そんな変幻自在の存在なのです。実際、定番のPommes(フレンチフライ)から始まり、Bratkartoffeln(ドイツ版ジャーマンポテト)、Kartoffelknödel(ジャガイモ団子)、Kartoffelpuffer(ジャガイモパンケーキ)、Kartoffelsalad(ポテトサラダ)など、ドイツ定番料理におけるジャガイモの付け合わせ登板率は50以上にのぼるのではないかと感じています。

ドイツのジャガイモはお味の方も大変美味しいです。ドイツ南部と北海道の緯度がほぼ同じなくらいなので、ジャガイモの栽培が盛んで美味しいことも納得できますね。日本ではほとんどフライドポテトを食べなかった私が、渡独してからは少なくとも週イチでPommesを食べないと寂しく感じるほどです。

今回は、ドイツ人が愛してやまないジャガイモが登場する格言・言い回しを4つ紹介します。ちなみに、日本では「芋を洗うような」や「芋の煮えたもご存知ない」くらいしか見つかりませんでした。日本語の場合はジャガイモに限らず芋類全般を指していますが。

“(Für jemanden) die Kartoffeln aus dem Feuer holen”

直訳は「(〇〇のために)火の中のジャガイモを拾う」。「他の人が進んでやらないことを引き受ける」「他の人がやりたがらないことをやる」ことを意味します。この言い回しの起源と言われているのはフランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ(1621-1695)の寓話で、この中に登場する狡猾な猿が、猫に火の中のカスタニア(西洋トチの木の実)を拾うように仕向けたことからきています。日本の格言「火中の栗を拾う」も同じくこの寓話が由来だと言われています。この言い回しが生まれた当初、カスタニアだったパートが、時を経てジャガイモに置き換えられたのがいかにもドイツらしくて面白いですね。

使う場面は例えば、学校の保護者会で誰もやりたがらないPTA役員を引き受ける、家族の誰もやりたがらない粗大ゴミ捨てに自分が行く、などが考えられます。動詞の変化を含む言い回しなので、会話の中では “Danke! Du hast für mich die Kartoffeln aus dem Feuer geholt.” といった形で使います。

“Die dümmsten Bauern ernten die dicksten Kartoffeln.”

直訳は「一番マヌケな農夫が一番大きなジャガイモを収穫する」で、「賢くても成功するとは限らない」や「大した苦労もなく運だけで大きな成功や利益を手に入れる」ことを意味します。日本語の格言では「漁夫の利」が比較的近い意味になると思います。

賢い人は何かに取り組む時に立ち止まって考えたり自問自答することが多いので、何も考えていない人の方が総じて行動が早く瞬発力があり、スピードが重視される場面においては利を得ることが多い、ということを教訓にしています。

“Rin in die Kartoffeln, raus aus die Kartoffeln”

直訳は「ジャガイモに入ったり、ジャガイモから出たり」。日本語の格言で意味として近いのは「朝令暮改」でしょうか。この言い回しを使うシチュエーションは、最初に指示されたことと180度違うことを後から言われた、ああしろこうしろと言っていることがコロコロ変わる、といった場面です。指示に従う側の人が決定権を持っている人に対して不満があったり、その決定によって迷惑をこうむっている時にぴったりの表現なので、会社生活で使えそうですね。

この言い回しの起源は19世紀の軍隊で、ジャガイモ畑の中を行軍されられたと思えば、畑が荒れるので引き返せと命令される、ということが頻繁に起こっていたことから来ているそうです。

“Lorbeer macht nicht satt, besser wer Kartoffeln hat.”

直訳は「空腹を満たしてくれるのはベイリーフ(月桂樹の葉)ではなくジャガイモ」。古代ローマではベイリーフで作った王冠をかぶることが勝者の証でしたが、それを皮肉って「名声よりも大事なのは収入と食事」と言っています。日本語には似たものとして「名よりも実を取る」という格言がありますね。

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