ドイツの日系企業で体験したよくある無駄な業務内容

意を決して海を渡り、新天地ドイツで就職先を決めたのはいいものの、一旦どんな業務が待ち受けているのかは、誰もが気になるところだと思います。

僕自身、日本で社畜を経験し、奴隷とは何なのかを真剣に考える時期があったほど、苦しい社会人時代を経験し、現在に至ります。

そんな僕が、いくつかの在独日系企業を経験した末に、現地採用が頻繁に体験する無駄な業務内容を細かく明かしたいと思います。

無駄な仕事とそうでない仕事の割合

「無駄な仕事」と「それ以外の仕事」で大きく二つにカテゴライズし、全体の仕事内容の割合を解剖してみました。

  1. 無駄な仕事:50%
  2. それ以外の仕事:50%

この割合を見て、果たして皆さんはどのように感じるのでしょうか。もし無駄な仕事が多いと感じるのであれば、現在は相当ヤバい会社に勤めていらっしゃるのだな、と推察します。

と言うのも、無駄な仕事と言うのは、なくなっても会社の経営に問題ない仕事だと定義しています。つまり、本来は半分の労働時間で済むのに対し、無意味な作業に毎日約4時間、週20時間、月80時間、年960時間費やしているわけです。

960時間は約40日。つまり40日の休暇をプラスアルファで取ったしても、必要な仕事さえこなしていれば会社が回ることになりますし、もし無駄な時間に必要な仕事をこなしたら、単純計算で売上が2倍に増える可能性すらあり、そうなれば会社の資金が増え、人件費に充てられる余裕もでき、社員全員の給料が上がってもおかしくないのです。

さて、前置きはこのくらいにして、無駄な仕事には一体どんなものがあるのか、徹底解剖していきましょう。

無駄な仕事の具体例

前もって言っておきますが、これはあくまで個人的見解で無駄、もしくは大きく改善可能だと判断した項目をリストアップしています。

  • DXが進んでないから数字管理が全部エクセル
  • パワポの見た目やデザイン性にこだわりすぎ
  • 資料を全て印刷させられる
  • 大量の会議に参加
  • 報告の重要度が高すぎ

日系企業とドイツの企業、どっちに就職するのがおススメか?

DXが進んでないから全部エクセル

会社全体のITリテラシーが低く、DXを煙たがっていて、売上管理、在庫管理、マーケティングのKPI管理、受発注など、すべてExcelで手動で管理されています。様々な企業の面接を受けたり、友人・知人から生の声を聴く限り、在独日系企業はほぼすべて恐竜が生きていた中生代からの生き残りのように伝統的です。

下手をしたらFAXすら使われているかもしれません。この辺りはちょっとしたシステムを導入するだけであっという間に効率化できるのに、以下の理由でDXが滞ってます。

  • 新しいものを導入するのが恐い
  • 社外のドイツ人と情報交換の機会がなく、情報が古い
  • 予算によっては本社を説得できない/面倒くさい
  • 駐在員だからいつか帰国するため、自分には関係ないと思っている

ドイツの日系企業に入社して一日目にやったこと

パワポの見た目やデザイン性にこだわりすぎ

丁寧に仕事をすることは大事なのですが、度が行き過ぎて本質を見失っていることが多々あります。その中の一つがパワーポイント。そもそもフォトショップで広告を作る訳でもないし、社外向けのプレゼン資料を作成するわけでもない、ただの社内共有資料でも、ミリ単位でデザインに気を使わせられることがありますが、これは超ナンセンスです。

知り合いのデザイナーの方が企業からプレゼン作成を頼まれる案件がよくあると聞いたことがありますが、「そもそも彼らはパワポというツールを誤解している。本質を何も知らず、安い金でこき使ってくる」と愚痴っていました。

愚痴はさておき、本来パワポはメッセージを伝えるためのもので、ミリ単位でデザインを追求するものではないのです。

パワポに対して職人気質の日本人

資料を全て印刷させられる

印刷というのは案外時間がかかります。ミーティングに出席する人全員に印刷物を配る際は、平気で1時間かかってしまうこともあるのです。紙で資料が必要な人は自分で勝手に印刷すれば、誰かの時間が削られることもないでしょう。

大量の会議に参加

これもあるあるだと思いますが、とにかく参加しなければならない会議の数が常軌を逸しています。グーグルカレンダーをミーティングで埋めることに快感を覚えているのか、スケジュールが少ない人を見下し、バカにしている人すらいますが、会議ばかりしても売上を伸ばしていなければ決して威張れることではないはずです。ひろゆきもきっと同じことを言うでしょう。

報告の重要度が高い

社会人になって最初に教わること中で、「報連相」という言葉があります。これを無駄だと言い切ることはできませんが、本来、結果さえ出していれば報連相などそこまで大事ではないことを忘れてはいけません。

報連相というのは、必要最低限だけこなすべきで、目の前の顧客を無視しても報告を意識してしまうようなことは絶対にあってはならないこと。なのに、不思議と日系企業ではこのような逆転現象が起こっています。

報告の中でも特に無駄だなと感じるのは、99%使わない資料を保険として作らせること、過剰なまでの本社や現地社長への報告資料です。

もちろん、ヨーロッパの支店があるのは本社がお金を出したからこそ。株主と考えたら報告義務が生じるのは当たり前のことかもしれないですが、もし私が株主であれば、目先の何千万円という売上を無視して私がよく知らない市場のレポートに時間を費やされたら、激怒することでしょう。

まとめ

ドイツ人は原則、無駄を嫌います。元ドイツ外務大臣ジグマール・ガブリエル氏も「Effizienz ist eine deutsche Tugend(効率はドイツ人の美徳)」と語っています。日本に詳しくないドイツ人の知り合いが日本へ出張へ行ったときの出来事を声を荒げて話してましたが、内容はこうです。

「日本に行って潜在顧客が僕たちを会社に招いてくれた。コーヒーを出してくれて会社説明をし、食事まで共にしたが、実際にビジネスをする気は一切ないことを後から仲介人を通して言われた。ホスピタリティはありがたいが、ドイツ人としては無駄な時間を過ごしてしまったという気持ちの方が正直強い」

皆さんもドイツ生活が長くなるにつれて、ドイツ人の中に溶け込む時間が長くなるにつれて感覚が変化してくるでしょうから、日系企業に勤めた際の文化の違いにはストレスを感じてしまうかもしれません。

一方で、上述とは別に無駄ではないと思うその他の仕事もあります。顧客訪問、受発注、展示会やイベントの開催、必要最低限の報告、戦略立案、市場分析などです。このように売上に直結、ないしは間接的に繋がるアクションを積み重ね、重要性を感じながら行えるタスクを増やしていきたいものですね。

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