
ドイツと聞いたらみなさんが一番に思い浮かべることって何でしょうか?ビール、ソーセージ、サッカーあたりが鉄板だと思うんですが、ドイツに住む前の私のイメージもご多聞に漏れず「ビール」でした。
そんな、ビールを飲むのにうってつけの場所はなんといっても「ビアガーデン」ですよね!ドイツ人というとでっかいビールジョッキを手に野外で飲みまくってる印象があると思うんですが、実はドイツの観光サイトやガイドブックでよく見るビアガーデンって南部独特な文化だって知ってましたか?
ビアガーデンのはじまり
ビアガーデンのはじまりは19世紀初頭、ビール醸造所(ブルワリー)が、夏場にビールを貯蔵しておく地下貯蔵庫から直接ビールをサーブするようになったのがきっかけと言われています。
現在も多くのブルワリーが直営レストランを持っているので、ブルワリーの数がビアガーデンの数に直結するとも言えますね。ブルワリーの数は州によって差が大きく、圧倒的に多いのは南部バイエルン州でなんと473ヶ所!同じく南部のお隣バーデン・ヴュルテンベルク州も比較的多いですが(141ヶ所)、これが北部に行くとベルリン州19ヶ所、ニーダーザクセン州42ヶ所と激減します。
私が住むフランクフルトがあるヘッセン州には42ヶ所のブルワリーがあります。ライン・マイン地域はワインの産地として有名なので、フランクフルトはビールというよりはワイン文化圏なんです。
日本と違う?!ドイツのビアガーデン
日本のビアガーデンは都会のビルの屋上でバーベキューをしながらお酒を飲むのが定番ですが、本場ドイツのビアガーデンは日本とこんなところが違います。
緑に囲まれている
(Photo:munchen.de/Fank Heller)
ブルワリーに併設されていたり、公園の一角にあるのが一般的です。中には池のほとりに位置していて、白鳥やカモが客に食べ物をせがみに来たり、ハトやカラスがおこぼれを探してテーブルの下を歩き回るなど、のどかな光景が繰り広げられる自然いっぱいなところも。ドイツのビアガーデンにはたくさんのカスタニアン(チェスナット)の木が植えられているので、その木陰で直射日光を避けるだけで真夏でも十分快適にビールを楽しむことができます。
ドイツのビアガーデンも日本と同じく夏の間のみ営業していますが、観光地のビアガーデンを除いて、ほとんどは午後からオープンします。週末はお昼ご飯が食べられる時間からやっている場所もありますが、平日は15時ごろから開くのが一般的。混み出すのは夕方からで、友達や家族と仕事終わりに食事をとりながら1杯という人々で23時くらいまで賑わっていますね。
専用のテーブルと椅子がある
Bierzeltgarniturと呼ばれる専用のベンチとテーブルがどのビアガーデンでも使われています。オクトーバーフェストでも見る、長細いテーブルと椅子ですね。ベンチは板でクッションもないので決して座り心地は良くありませんが、野外でこれに座るとビアガーデン気分が盛り上がります。
子供の遊び場がある
家族連れの憩いの場にもなっており、たいていのビアガーデンに子供が遊べるスペース(Spielplatz)が併設されています。ビアガーデンの定番遊具は、砂場、ブランコ、滑り台、アスレチックなど。幼稚園生くらいになり親が付きっきりで見ていなくても大丈夫になれば、子供を遊具で遊ばせつつ親はビールを楽しむ、という贅沢な時間を過ごすことができます。
飲み物=持ち込み禁止、食べ物=持ち込みOK
飲み物はビアガーデンで購入するのが鉄則です。たとえコーヒーであっても持ち込みは許されません。ビアガーデンのメッカ・バイエルン地方の定番はヘレスと呼ばれる淡色ラガービール。暑い夏にはぴったりのさっぱりした後味で、マースと呼ばれる1Lジョッキで提供されます。1Lも飲めない!という人は、ヘレスをレモネードと50/50で割ったラードラーや、500mlグラスで提供される白ビール=ヴァイスビア(ヴァイツェン)を選ぶのも良いですね。ちなみに私は、飲みやすいラードラーが好きです。もちろん、ソフトドリンク(水、ジュース、コーラなど)も選べますのでお酒が飲めない人や子供でも安心して楽しめます。ちなみに、ビール以外のアルコールはほぼ見かけません。
※レストラン併設のビアガーデンでは食べ物も持ち込み不可なところもあるのでご注意ください
セルフサービス!グラスは忘れずに返却しよう
ドイツのビアガーデンは基本的にセルフサービスです。飲み物や食べ物は自分で取りに行き、使い終わったグラスや食器は回収場所へ戻します。観光地のビアガーデンなど、場所によってはグラスや食器にデボジットがかかる場合がありますが、返却すれば戻ってきますので帰るときに忘れないようにしましょう。
おすすめ:伝統が味わえるビアガーデン
・Augustiner-Keller(ミュンヘン)
・Waltwirtschaft(プルラッハ・バイ・ミュンヘン)
・Herzogliches Bräustüberl(テーゲルン湖)
・Biergarten im Stuttgarter Schlossgarten(シュトゥットガルト)
・Bornheimer Ratskeller(フランクフルト)
・Eulchen Schlossbiergarten(マインツ)

新卒で出版会社に働くが、2年で体調を壊し退職。以後30歳近くまで職を転々とし、終いには地元のブラック卸売り企業で年収300万円残業100時間生活を送る。31歳の誕生日直前にドイツにワーホリで渡航。現在フランクフルト在住。
“ザ・ドイツなビアガーデン文化、実は南だけ?” への2件のフィードバック