日本人はドイツで大学院に行くべきか?メリットとデメリット

ブログやツイッターなどを見ていると、よく「ドイツでMBA取りました」「ドイツで大学院合格しました」といった内容をよく目にします。実際、ドイツの大学院に行く日本人の数は少なくないのではと思います。

僕も、デュッセルドルフに住んでいた時には、実際に大学院に通っている、通っていた日本人を目にしましたが、卒業した人でも良い職業に就いている人と仕事が決まらない人とで分かれている印象でした。

賛否両論ある大学院進学についてのテーマを、ドイツでの経験をもとにメリット・デメリット交え論じていきたいと思います。

メリット

まず、ドイツで日本人が大学院に行くメリットについて検証してみましょう。

具体的に日本人が大学院に行くメリットとしては、以下のようなものが挙げられるのではないでしょうか。

  • 学部生と比べ生涯賃金に差が出てくる
  • ドイツで永住滞在許可を得るための期間が少し短くなる
  • ドイツで労働ビザが取りやすくなる
  • 箔がつく

そもそも、ドイツの大学進学率は42%程度で、うち半分が学部卒、半分が大学院以上卒という学歴です。つまり、全人口の20%が大学院卒という形で、日本と比べると大学院に進学する率が多いことが分かります。日本でいうところの学部卒の延長で、そのまま大学院まで通う学生層が多いところがポイントですね。

(出典:Bei diesen Studiengängen sollten Sie unbedingt den Master dranhängen

ただ、生涯賃金に関して言えば注意が必要で、エンジニアやITの分野では学部卒でも大学院卒でもあまり給料が変わらず、大学院に2~3年費やすことを考えると、むしろ生涯賃金マイナスも起こりうるそうです。

また、ドイツ人ではなく日本人である我々にとってのメリットを見てみると、大学・大学院で通っていた期間も一部永住ビザ取得のための期間に組み込まれるので、卒業後に永住ビザ取得までの期間が少し短くなります。

(最も、その期間を終業に充てていればその分ビザ取得までの期間が早くなるので、特段に大学院に通うことのメリットとも呼べませんが。。)

デメリット

今度は、逆にデメリットを見てみましょう。日本人がドイツの大学院に行くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

  • 入学要件が難しい
  • 卒業まで時間がかかる
  • 日本人はほとんど奨学金が受けられない
  • 期末・中間試験が難しい

まず、入学までが簡単な道のりではありません。大抵、英語かドイツ語、または両方の語学認定証のC1レベルが必要とされ、GMATなどが必要条件のところもあります。加えて、学部時代の成績を見られ、一流大学の院に行きたければ、GPA3点台後半じゃないと厳しいという話もよく聞きます。

続いて、仮に入学できても卒業まで最短で2年かかる点です。この2年間、収入のほうは当然ゼロになりますし、試験に落ちたりインターンを間におこなったりすると、この卒業までの期間は半年、一年とずるずる伸びていきます。仮に20代後半で大学院受験を目指しても、準備に1年、卒業まで2~3年かかるので、結局就職できるのは30歳になってから、とキャリアにとって一番重要な20代後半を棒に振ることとなります。

試験や課題は楽ではなく、僕の周りでも徹夜で卒論を仕上げたり、次のテストに落ちたら退学、といった追い詰められた学生院生をよく見てきました。日本の大学のように、モラトリウムを謳歌するのではなく、ガチでキツそうです。落第する学生も少なくないようで、向いている人と向いていない人との差が大きいのではないでしょうか。

結論

さて、ここまでメリットとデメリットを見てきましたが、大学院が向いているか向いていないか、行くべきか行かないべきかの判断は、総じて「人による」と言えるのではないでしょうか。

向いている人

  • 高校・大学時代に勉強が好きだった人
  • 2~3年無収入でもやりくりできる貯金がある
  • 将来大企業の役員などを大きな野望がある
  • 学部時代の成績が良かった

向いていない人

  • 勉強が好きではない
  • 貯金がなく、すぐにでも働きたい
  • 特に大企業で役員などになりたいわけではない
  • 学部時代の成績が悪かった

といった形ではないでしょうか。2年浪人を続け専修大学にかろうじて合格した僕は、貯金も含め完全に後者の「向いていない」に分類されるように思えます。仮に目指していても、学部時代の成績で足切りされるか、語学のC1認定証で詰んでいた可能性が高く、今後も大学院に行く気はありません。

基本的には、一流企業などを目指すのであればともかく、ドイツでごくごく普通の企業での就職を目指すのであれば学部卒の肩書だけで十分だと思います。

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