【最古は9世紀!】ドイツで現存する最も古い会社ベスト5選

2008年に韓国銀行が41か国を対象に「老舗企業」(創業200年以上)の数を調べました。結果、世界で5500の老舗企業が見つかり、うち半分は日本、15%がドイツに位置していたようです。

世界最古の企業は日本の金剛組で、創業はなんと578年。京都の四天王寺を設立するために作られた企業のようです。その次に古い会社が同じく日本の旅館西山温泉慶雲館、その次がまた日本の旅館千年の湯、 次も日本で善吾楼、と5位まで日本の企業が続き、6位になってようやくオーストリアのレストランが登場します。

西暦1000年より前に創業された企業の数はたった11社で、うち7社が日本というのだから驚きです。

今回は、日本に次いで「老舗企業」の多いドイツで最も古い企業5選を紹介します。

Staffelter Hof

設立:862年
業種:ワイン

世界で7番目に古い会社で、ヨーロッパではオーストリアのSt. Peter Stiftskulinariumに次いで二番目に古い会社です。Krövというフランス国境に近い人口2000人の小さな町に居を構えるワイナリーで、ゲストハウスも併設しているので宿泊が可能だとか。

起源をさかのぼると元々は修道院の所有するワイナリーだったようで、フランク王国分割の動乱の時代でもありました(日本は平安時代)。862年の設立以降、歴史の荒波をどうにか乗り切り、実にナポレオンの登場まで1000年近く、この修道院が所有し続け、その後Peter Schneidersに所有者が移りつつも、現在まで経営を続けています。

そんな由緒正しいワイナリーなので、販売しているワインもさぞ高いのかと思いきや、普通に1000円くらいから赤ワイン、白ワインを売っています(販売しているワインのほとんどは白ワイン)。

美味しいワインを作るには「良い水」と「温暖な気候」が必要とされ、ドイツのワイナリーはこのStaffelter Hofのあるモーゼル川周辺に固まっています。この辺のワイナリーをめぐって旅をするのも面白いかもしれません。

Weltenburger

設立:1050年
業種:ビール醸造所

Kelheimという人口1万人程度の小さい町のビール醸造所です。Weltenburger Klosterという名前で地ビールを製造しており、World Beer Cupでは何度か世界最高の黒ビールとして受賞歴があります。

設立は1050年と、先ほどのStaffelter Hofのワイナリーから遅れること200年後に設立され、同じく修道院所有の醸造所です。11世紀と言えば神聖ローマ帝国の絶頂期でしょうか、歴史を感じます。

オンラインショップを見てみると、先ほどのワイナリー同様、価格はリーズナブル。ビール以外にもシャツやビールジョッキをお土産として売るなど、たくましい商魂を感じます。

ちなみに、この会社ほどではありませんが、ドイツの田舎に行くと結構な割合で古い醸造所を見つけることができ、おいしい地ビールにありつくことができます。スーパーやコンビニで手に入る大量生産のビールではなく、歴史を感じる地ビールを飲みたい場合、いろいろな村や町に足を運んでみるのも面白いかもしれません。

Schloss Johannisberg

設立:1100年
業種:ワイン

Johannisbergというヘッセン州にある人口3000人程度の小さい町のワイナリーです。リースリングというドイツ名産の甘いワインを生産・販売しており、オンラインで販売している値段は1000円程度のものから10万円程度のものまでピンキリです。

先ほど紹介した2社同様、このワイナリーも起源をたどると修道院所有のもの。以後、16世紀のドイツ農民戦争や第二次世界大戦における空襲などを乗り越え、現在まで経営を続けています。

Zum Roten Bären

設立:1120年
業種:ホテル

ここにきてアルコール業以外の業種が登場です。ホテル業としては世界で5番目(ちなみに、上位4位は全て日本からのランクイン)に古い歴史を持ち、Freiburg im Breisgauという人口20万人程度の町に位置しています。

こんなに由緒正しいホテルであるにも関わらず宿泊費用のほうは随分と良心的で、シングルルームで1万円前後、ダブルルームで1万5000円程度です。レストランのほうも良心的な価格で、メインディッシュ含め一人当たり50~60ユーロくらいの相場観です。

途中で改修・改築を何度も経ているので、建物自体が1000年前から続いているわけではありません。

Hofbrauhaus Arolsen

設立:1131年
業種:ビール醸造所

再びアルコール業です。Bad Arolsenという人口15000人程度の小さな町に居を構え、修道院所有の醸造所として長い歴史を持っていました。残念ながら、2013年に醸造業は廃止されてしまったようです。

おまけ:Isabellenhütte Heusler

ちなみに、ワインとか旅館とかビール醸造所とか小さい会社ではなく、ドイツの大きい会社で一番古いものはどこかと調べてみたところ(間違っていたらごめんなさい)、1482年に設立されたこのIsabellenhütte Heuslerで、飛行機などに使用されるハーネスや抵抗器を作っているようです。

2020年時点で従業員数は約900人、売上高は年商200億円程度と、中々の規模感の会社です。

1482年と言えば日本では応仁の乱の真っ最中。このころからすでにドイツでは工業を営む企業が生まれ始めていたというのは興味深いですね。大航海時代が始まり、世界の情勢が劇的に変わり始める時代です。

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