【徹底検証】ドイツにおける日本人の平均給与・年収を丸裸にします!

デュッセルドルフを歩いていると、「ここは日本か」と思うほど多くの日本人で溢れています。一方、その多くは日本の本社から送られた駐在員で、実際にドイツで現地採用された日本人の割合はそのうち2割とも3割とも言われています。

そんなドイツ現地採用の日本人たちですが、駐在員でも現地人でもなく、どっちつかずの宙ぶらりんのポジションです。自然と、そういった現地採用同士でつるむこともあり、情報のやりとりがされるのですが、「給与」というトピックには触れずに来ました。

今回は、在独日本人を代表し、僕が現地の日本人を調査した「ドイツ現地採用日本人の給与明細」を一挙に公開しようと思います。

日本人の給与はドイツ人よりも低い?

統計により若干の誤差はありますが、ドイツ人の平均年収は2020年時点で約49000€(Handelsblatt)と、日本円にして660万円程度稼いでいます。対して日本の2020年での平均年収は430万円と、同じG7の一員とは思えない乖離が見られます。

さてこのドイツ人の49,000€という平均年収ですが、実際に本当にこんなに高いものなのでしょうか?確かに統計やリクルート会社の統計を追ってみると、誤差はあれども似たような数字が並びます。ただ、この数字はあくまでドイツ全体の平均値の話で、ドイツに移住した日本人がどれくらい稼げるのか、というとまた別の問題ではないでしょうか?(例えばこのブログを見ているあなたは、49,000ユーロも稼いでいますか?)

というわけで、今まで謎のベールに包まれていた「日本人のドイツでの給与平均」に関して、知り合いベースで19人の日本人にヒアリング調査を行ってみました。以下がその結果となります。僕の居住区のフランクフルトや、前に住んでいたデュッセルドルフに偏っていますが。。

性別 年齢(歳) 居住 ドイツ歴(年) 英語 ドイツ語 給与 日系企業
1 33 デュッセルドルフ 4 42000
2 37 デュッセルドルフ 6 45000
3 30 デュッセルドルフ 3 35000
4 33 デュッセルドルフ 11 60000
5 29 フランクフルト 6 50000
6 31 デュッセルドルフ 4 55000
7 46 ハノーファー 14 38000
8 31 フランクフルト 2 43000
9 35 フランクフルト 5 41000
10 36 フランクフルト 7 40000
11 29 フランクフルト 2 35000
12 26 ベルリン 1 49000
13 48 ケルン 7 72000
14 29 デュッセルドルフ 5 40000
15 28 フランクフルト 3 38000
16 42 フランクフルト 6 45000
17 30 デュッセルドルフ 4 44000
18 37 ケルン 10 46000
19 39 デュッセルドルフ 4 36000
  • 知り合いへの聞き込みベースなので、給与明細など細かい証拠は無し
  • 居住地に関しては同じエリアで統合(例、マインツ→フランクフルト)
  • 駐在員は除く
  • 自営業者は除く

さて、この調査を通して見えてきたことを、いかにつらつらと書きこんでいきます。

ドイツに住む日本人の給与に関して

まず、性別やポジションなどすべてごたまぜにした平均年収に関しては「43,678€」でした。ドイツの平均年収である49,000€には届きませんが、日本の平均年収である430万円(32000€相当)よりは高い水準です。

count 28
mean 43678.57
std 9193.61
min 32000
25% 36750
50% 42000
75% 49000
max 72000

男性vs女性
男性に限ってみると「44,904€」で、平均は少し上がりました。これは、女性のほうが給与の低い「アシスタント職」に従事するパターンが多いからだと推測します。そのため、女性の平均年収は「40,000€」でした。

日系企業vsドイツ企業
ドイツにある日系企業で働いている現地採用日本人の平均給与は「42,866€」で、ドイツ企業ですと「52,750€」と、結果に10,000€もの乖離が生まれる結果となりました。日本人の中でもドイツ企業で働いている人だけを抽出すると、ドイツ人の平均給与水準に近くなりそうですね。最も、日本人の中でドイツ企業で働く人は基本「ドイツ語」「英語」がマストなので、そちらがむしろ給与平均に影響を与えているのかも知れません。

一方で、ドイツ企業の中でもアシスタント職の給与水準は基本的に低めです。ここに、2か国語、3か国語と話せる言語が増えたり、役職がつくと追加で報酬が加わる形ですね。

英語のみvsドイツ語&英語
英語のみ話せる人の平均給与は「44,947€」ですが、英語もドイツ語も話せる人の平均給与は「48,111€」と、これもかなりドイツ人の平均給与に近い結果となりました。上述の「日系企業vsドイツ企業」の分け方と合わせ、この辺のスキルや条件がドイツ人同等の給与を得るための分水嶺になりそうですね。

ドイツ歴と給与の関係
ドイツ滞在歴と給与、あるいは年齢と給与の関係を探ってみると、面白いことが分かります。まず、男性と女性ひっくるめたデータだと、年齢と給与には相関関係がほとんど認められませんでしたが、ドイツ滞在歴と給与とではR=0.69でそこそこの相関関係が見込めます(N数が少ないので信ぴょう性は薄いですが・・)。

太一調べ

さらに、男性と女性を分けると、やはり男性のほうがドイツ滞在歴が長い状態でも仕事をしている率が高いことが分かります。これにはいくつか仮説がありますが、日本人女性はドイツ人男性と結婚した場合、どうしてもその男性の住む土地に引っ越すことになり、キャリアがリセットされたり、給与の上がりにくいアシスタント職についたりといったことが予想され、一方で男性はキャリアを中断されずに地道に給料がアップできるため、自然とドイツ滞在歴に比例して給料が増えていくのかと。

ちなみに、男性の給与とドイツ滞在歴とでは、R=0.84というかなり高い相関関係が見つかりました。

さて、上記のリサーチから、以下のようなまとめが言えます。

  • ドイツで働く日本人の平均給与は「43,678€」。この数値はドイツで働くドイツ人の平均よりも安く、日本で働く日本人平均よりも高い
  • うち、ドイツ企業に勤めている日本人の平均年収は「52,750€」で、日系企業勤務の場合「42,866€」となる
  • ドイツ語が話せる人間は「48,111€」、話せない人間は「44,947€」
  • 滞在歴と給与とには割と高い相関性があり、男性であればそれが顕著

ちなみに、僕はドイツに来たばかりのころはドイツ語ができず、3年ほどかけて仕事をしながらドイツ語を鍛えたら転職し年収がアップしたので、ドイツ人並みの年収(49,000€)の壁を超えるには「ドイツ語が話せるか否か」が一つの指標になるのかも知れませんね。

最も、ドイツの生活費は日本で思われているほど高くなく、以前「ドイツの生活費公開」でも紹介した通り、独身で月10~15万円くらいあると生活可能なラインです。家族持ち、都会住ですと当然固定費は増えますが、基本的に外食を控え自炊ベースの生活をしていれば、年収40,000€でも十分良い生活ができます。

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