ドイツ職業訓練校(Ausbildung)の特徴とカリキュラムについて

ドイツで仕事を得て長く生活するには職種の専門性を身につけることが重要になってきます

ドイツには実際に技術や専門性を学びながら実践経験を積める職業訓練校(Ausbildung)という施設があります。

本日はその特徴とカリキュラムについて書いていきたいと思います。

Ausbildungについて

このAusbildungというシステムは中世のギルドと呼ばれるシステムが起源とされていて現在はドイツ・オーストリアなどの一部の国にしかない、就業のために必要とされる知識や技術を座学と実務学習の両方を通して身につけていくという教育システムです。

Welchen Zweck hat das Berufsbildungsgesetz?
Das Berufsbildungsgesetz, kurz BBiG, regelt in Deutschland die betrieblichen Berufsausbildungen, die Vorbereitung zur Berufsausbildung, die Fortbildung sowie die Umschulung. Das Gesetz entstand im Jahr 1969 mit dem Ziel, die qualitative Berufsausbildung in Deutschland zu sichern und die Chancen junger Menschen auf eine Berufsausbildung zu verbessern.

私訳:

職業訓練法の目的は何か?

職業訓練法(略してBBiG)は、会社での実務訓練、または就職に関する事前準備、高度な技術、知識の獲得、およびドイツで就職に必要な技術、知識の訓練を習得するための規則です。この法律は、ドイツで質の高い職業訓練を確保し、若者の職業訓練の機会を増やすことを目的として1969年に制定されました。

出典:https://www.azubiyo.de/azubi-wissen/berufsbildungsgesetz/

 

Die Berufsausbildung in Deutschland ist standardisiert und bereitet Auszubildende auf einen Beruf vor. Eine Ausbildung dauert je nach Ausbildungsberuf in der Regel zwei bis dreieinhalb Jahre. Viele Menschen starten gleich nach der Schule in eine Ausbildung. Aber immer häufiger beginnen junge Menschen auch erst später eine Berufsausbildung, beispielsweise nach einem Auslandsaufenthalt oder wenn sie ein Studium abgebrochen haben.

私訳:

ドイツでの職業訓練は標準化されており、訓練生は事前に専門性を学習、業務を経験することで仕事に備えることができます。どの職業訓練に参加するかにもよりますが、卒業までに通常2年から3年半かかります。

多くの人がキムナジウム(高等学校)卒業後または義務教育終了後すぐに訓練校にて学習、実務訓練を始めます。しかし、最近では例えば一定期間海外に滞在した後や大学を中退したときなど、しばらく間をあけてから職業訓練を開始する人がますます増えてきています。

出典:https://www.sgd.de/glossar-weiterbildung/ausbildung.html

 

またドイツでは最近、新しい専門的な職業知識を身につけるため、既に就職している人が仕事を辞め「Umschulung」と呼ばれる専門分野を変更し、今までとは違う業種や職種、分野で就労するために職業訓練校に入学する人が増えてきています。

ドイツ企業では毎年500,000人を超える職業訓練校出身の人と見習い(トレーニング)契約が締結されています。

就職に直結する専門技術の習得が出来る魅力から、ドイツ人だけでなくドイツ国外からの入学生も近年増えています。

As per Statistisches Bundesamt, 521,900 foreign persons have signed up for new training/apprenticeship positions in 2018, which is more than twice in number when compared to 2009.

私訳:Statistisches Bundesamtによると、2018年には521,900人の外国人が新しいトレーニング/見習い職に登録しました。これは、2009年と比較して2倍以上の数です。

出典: https://kcrconsultants.com/ausbildung/

 

職業訓練プログラムのタイプについて

職業訓練も色んなタイプがあります。

■デュアル職業訓練 (Duale Berufsausbildung)

店や会社と契約を結んで実際に働きながら学ぶことが出来る職業訓練プログラムになります。

Ausbildungと言うと通常この種類のプログラムを指すことが多いです。

通常8月1日または9月1日からプログラムは開始され、週1・2回、または最初の数週間まとめて、職業訓練校で業務の遂行に必要となる知識や技術を学び、残りの日は店や会社などで実際に働きます。

(訓練校での座学にはドイツ語や英語といった語学学習も含まれます。)

プログラム期間中、職種によって金額は異なりますが、約350~1200ユーロ程度の月給が実習先の会社より支給されます。

訓練期間の中間で今まで学んだこと、実習したことが身についているか確認するテストと訓練終了後の卒業テストがあります。

いずれもドイツ語で行われます。

参考文献:https://www.make-it-in-germany.com/en/study-training/training-in-germany/vocational/dual-system

 

■専門校での職業訓練 (Schulische Ausbildung)

ヘルスケア・作業療法士・IT・デザイン・メディア・通訳などの職種を希望する人向けのコースで、私立の専門学校に入学して知識を習得する職業訓練プログラムになります。

基本的に実習はなく、座学による知識習得になります。

学費は基本的に自己負担となりますが、生活保護受給者に関しては労働局の許可が降りれば例外的に授業の一部、または全額を免除してもらうことが出来ます。(Bildungsgutscheinという書類の発行が必要)

専門的な知識が得られる点で大学を卒業した学生と比べると企業から魅力的な人材と認識されることが多く、

 

参考文献:https://www.einstieg.com/ausbildung/schulische-ausbildung.html

■デュアル大学 (Duales Studium)

新しい職業訓練のスタイルで、最近とても人気が高いカリキュラムになります。

大学、専門学校での学習に加え、会社での実務を経験することが可能です。

(受け入れる会社側と生徒側でプログラム開始前に期間と内容を記載した契約書を締結する必要があります。)

また、職業訓練プログラムを修了した際に職業訓練の卒業証明と同時に大学の学位が取得出来るところも魅力の一つです。

通常の大学生と較べると実務経験も豊富なので企業からすれば即戦力として採用しやすく、デュアル職業訓練と同様に訓練校修了後の就職に直結しやすいプログラムと言えます。

参考文献: https://www.einstieg.com/studium/was-ist-ein-duales-studium.html

 

職業訓練校で学べる職種

職業訓練校で学べる職種は多岐に渡ります。

ここではその一部について、給料が高い職業順に紹介してみたいと思います。

■航空管制官

1年目: 月1,150 EUR
2年目: 月1,150–4,000 EUR
3年目: 月4,000–5,900 EUR

■船の整備士

1年目: 月1,020 EUR
2年目: 月1,270 EUR
3年目: 月1,760 EUR

■警官(ミドルサービス)

1年目: 月1,170-1,380 EUR
2年目: 月1,170-1,380 EUR
3年目: 月1,170-1,380 EUR

■看護スペシャリスト

1年目: 月1,100 EUR
2年目: 月1,150 EUR
3年目: 月1,250 EUR

■保険および金融の販売

1年目: 月1,040 EUR
2年目: 月1,115 EUR
3年目: 月1,200 EUR

■ITスペシャリスト

1年目: 月1,050 EUR
2年目: 月1,100 EUR
3年目: 月1,200 EUR

参照文献: https://russianvagabond.com/best-paid-ausbildung-programs-in-germany/

応募資格

学歴証明書(日本の学歴含む)

日本人で最終学歴が日本の高校卒業の場合、「デュアル大学」を除き、応募・申し込みが可能です。

(大卒の場合はデュアル大学も応募、申し込み可能)

申し込みに関しては以下の書類が必要です。

①卒業証明書

②単位取得証明書

上記の2点に関してはドイツ語に翻訳されたものが必要なので、認証翻訳者に依頼してドイツ語に翻訳し、認証(Anerkennung)を受ける必要があります。

必要なドイツ語能力

ドイツの会社で実習を経験することや、専門的な用語や知識を講義で学ぶことを前提とした場合、少なくともドイツの大学入学に必要な語学レベル(C1)まで勉強しておいて損はないと考えます。

特定の環境でドイツ語でしっかりとコミュニケーションを取れることが大事です。

実際、職業訓練プログラムを受けた日本人の知り合いに聞いても、事前に語学学校に半年通った上で職業訓練を受けたが、授業についていくのが大変だったとのこと。

ビザについて

職業訓練を行う場合、始まる前に事前にビザを申請する必要があります。

・訓練先の会社からの契約書

・健康保険

これには職業訓練が始まる前に、実務訓練を行う会社から契約書を発行してもらう必要があります。

(ドイツで生計を立てるのに十分と判断出来る月額650〜700ユーロの収入があることを証明する書類)

その他、職業訓練が始まるまでに有効な健康保険に加入する必要があります。

申請先は大使館または領事館で行う必要がありますが、3ヶ月ほど申請から発行までかかるようです。

 

職業訓練に関して、学校(座学)中心のプログラムか実務中心のプログラムかでもらえるビザの種類が違います。

■学校中心のプログラムの場合

「AufenthaltserlaubniszumZweck derschulischenBetriebsausbildung」

■実務中心のプログラムの場合

「AufenthaltserlaubniszumZweck der betrieblichen Aus-undWeiterbildung」

 

参考文献:https://www.ausbildung.de/ratgeber/downloads/guide-finding-ausbildung-non-eu-citizen/

https://japan.diplo.de/ja-ja/themen/wirtschaft/berufsbildung-auslaender-06/977600

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