アラサー貧乏社畜の僕がドイツで転職したら人生変わった: 5つの変化

日本の社畜底辺生活を30歳の時に脱却し、ドイツに移住したあと、僕の仕事人生は大きな変化を見せました。それらは、今後のキャリアや私生活、ひいては人生全体にも大きな影響を与えたと思います。

今回、特に日本時代と比較し、ドイツで転職して変化を見せた5つのことに関して、赤裸々に語っていきたいと思います。

有給が増えた

ドイツで就職して実感した一番の変化は、日本にいたころと違い使用できる有給の日数が圧倒的に増えたことです。日本で仕事をしていたころは、有給とは名ばかりで年間に使用できるのは5日のみ、しかもその5日も平気で上司や客先から電話がかかってくるため、海外旅行などできないどころか心休まるときさえありませんでした。

ドイツでの僕の年間の有給付与日は30日、分けて使うと2週間規模の大型連休が年に3回取れる計算となります。さらに良いことに、日本やアメリカと異なり、有給消化中は完全なオフにすることが可能で、客先、上司、同僚などから電話がかかってこない嬉しい特典つきです。

そのため、ドイツの有給は本来の意味での「バケーション」と呼べるのではないでしょうか。連休中はドイツの隣国に気軽に海外旅行に出かけたり、嫁の実家のあるハンガリーに出かけたりしています。

ただ、この無敵に見えるドイツの有給制度にも弱点があり、日本と比較すると法定の祝日の数が大分少ないのです。祝日の数は州によって年に10日前後。イースターなど、4月~5月にはそこそこの数のまとまった祝日があるのですが、それを終えると10月のドイツ統一記念日まで4ヶ月ほど祝日が無い月が続きます(日本とドイツの祝日の比較に関しては「ドイツと日本の祝日数を比べてみた」の記事を参照ください)。

また、年末年始も日本ほどゆっくりしておらず、1月1日のみが法定の祝日で、1月2日からみなわたわたと働き始めます。日本のようなお盆や正月ののんびりとした雰囲気を味わいたい人にとっては、以外にもドイツの祝日システムは居心地が悪いかもしれません。

天気の良い日は河原でバーベキュー

残業が減った

有給が増えたのと同じく、ワークライフバランスに関連する内容ですが、日本で働いていたころと比べて劇的に残業時間が減りました。日本にいたときは最高で月間100時間と、厚生労働省の過労死ガイドラインに抵触する働き方をおこなっていた僕ですが、ドイツで働き始めてから残業はほぼゼロです。納期日の前に多少、19~20時くらいまで働くことを行いましたが、基本的には17時、曜日によっては15~16時に仕事終わりとなります

なぜこんな天国のような働き方が可能なのでしょうか?理由はいくつかあげられますが、大きなものとしては「周りも残業していない」という点があげられるでしょう。日本のように周りが残業しているから自分も残業しなくてはいけない、というトートロジーのような不毛な同調圧力が発生しません。

別にあげられる理由として、残業する=仕事ができない人間、とドイツ人同僚からみなされる点です。長く働くことが美徳とされる日本と違って、ドイツでは何時間働こうが結果が出なければ無能扱いです。というわけで、みんなさっさと仕事を終わらせて17時には帰路につきます。

必然的に、家族やパートーナーと家で過ごす時間が増え、人生に張りが出たように思えます。

スキルが身に着いた

日本で出版や卸の営業を行っていた時、自分の中で人に誇れる、転職に役立てられるようなスキルは何一つとして身に着けられませんでした。あくまで自分は代替可能な社会の歯車で、自分がいなくなっても会社には何の痛手もないのだろうな、というのを当時ひどく痛感したものです。

ドイツの会社で働き始めて持たされた変化とは、転職に役立てられる、固有のスキルが身に着いた点です。RPGゲームで例えると、日本にいたときは呪文系を一つも覚えずにHPにものを言わせたパンチとキックのみで乗り切っていたのに、ドイツの会社では回復系や攻撃系の固有の呪文をぽんぽん覚えられるような形です。

一番代表的な例でいうと、英語とドイツ語能力です。これら二つが5年の仕事人生で、学生時代は英語赤点常連だった僕が、準ネイティブレベルまで飛躍的に向上しました。

他には、貿易実務、プログラムを使った価格最適化、統計処理能力、デジタルマーケティング、ビッグデータなど、10年前の僕から見たら専門分野過ぎてわからない国際ビジネスに必要な能力が次々と身についていき、仕事が楽しく思えます。

ドイツは、日本のような終身雇用は全く一般的ではなく、人によっては3~4年で仕事をチェンジします。そのため、いつどこの会社でも生き残っていけるように、自身のスキル向上に余念がありません。こうした、年齢とともに自身のスキルが増えていくわくわく感は、日本の小さな会社で働いていた時には味わえませんでした。

給料が上がった

30歳まで年収300万円で、完全に上がり目の潰えていた僕ですが、ドイツで就職して給料は二倍以上にあがりました。ドイツの平均年収は日本のそれを上回っており、賃金水準主要先進国(G7)最下位の日本と比較すると、約1.4倍の差があります(出典:ITMeadia)。

そんな話を聞くと、ドイツは物価が高いんでしょ?というレスポンスが返ってきますが、実際にはそんなことはなく、年収50000EURの僕の場合、手取りは月収で約40万円となり、2LDK家賃の10万円、車代の4万円(会社貸与)、食費などを除いても、月々15万円近く貯金に回せる形です。
僕が日本で底辺サラリーマンをしてた頃と、現在の生活を比較すると以下のような形です。当時はモヤシとバナナで乗り切っており、生活の質が雲泥の差で直接比較になりませんが、ある程度の参考にはなると思います。

日本時代 ドイツ渡航後
手取り 18万円 40万円
家賃 5万円(20m2) 10万円(60m2)
交通費 0万円 4万円(車&ガソリン)
光熱費 1万円 0円(家賃に含む)
食費 3万円(超節約) 10万円(2人分)

要するに、給料が上がるとともに、生活の質が格段に向上しました。スーパーで1円単位で安売りの卵を探したり、節約のために水道水を飲んだり、という底辺プレイから解放されたのです。

職場の人間関係に悩まなくなった

最後に、日本時代は上司に毎日のように罵倒され、人格を否定されてきた僕ですが、ドイツで就職してからそんな仕打ちは一切行わられなくなりました。ドイツ人にとって、社員は働いてくれる大事な駒なので、その駒を自ら破壊する上司はいません。仕事上、注意をすることはあっても、それはあくまで「明日につながる」注意であって、翌日には叱ったことすら忘れている、非常にさばさばした人たちです。

残業はほぼなく、17時にはみんな家に直帰するので、不毛な飲み会や新年会、忘年会なども当然なく、会社のしがらみや人間関係にとらわれない、平和な毎日を過ごすことができます。

これは、プライベートと仕事生活を完全にすみ分けるドイツ社会だからできることで、日本のように、良い意味でも悪い意味でも、公私混同した社会であっては実現が難しいのではないでしょうか。

勿論、ドイツ生活は今回記載したような良い部分だけではありません。悪い部分もあるわけですが、下水を啜るような貧困層を底辺サラリーマン時代に経験したことのある僕にとっては、天国のように思えます。

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